総合博物館では,標記展示を4月16日(火)から5月12日(日)まで開催しました。季節を先取りして北海道のスミレ属植物を解りやすく紹介し,かつ最新の植物学的知見も含んだ展示を目指しました。
展示の主要部分は,当館ボランティアであり30年近く植物画を描いてこられた船迫吉江さんによる実寸大のスミレの植物画50点です。当館植物標本庫に保管されている戦前の千島やサハリン産タイプ標本から復元され,描かれたものもありました。花の分解図や托葉など重要な標徴形質も描きこまれており,植物学的にも正確であり来館者にも特に興味を持って見ていただけたと思います。
さらに,北海道とその周辺地域で戦前からごく最近まで収集されてきたスミレの押し葉標本も展示しました。また,テーマ解説パネルで「スミレ」の語源,北海道における地理分布や,シカによる食害問題,花粉形態,最新のDNA解析による系統といった研究トピックを紹介し,日本と北海道のスミレ属植物リストや北海道のスミレ属植物のカラースライドショーなどで,その多様性をご理解いただけたかと思います。
展示にあたっては,北方山草会や博物館ボランティアなど,多くの方にご協力いただきました。