獣医学部では,平成24年度入学者から国際的水準の獣医学教育を実施するため,帯広畜産大学と共同獣医学課程を編成・実施しています。8月19日(月)から24日(土)にかけて,1年生(本学獣医学部進学予定者37名・帯広畜産大学共同獣医学課程40名)並びに2年生(本学総合理系からの進学者5名・帯広畜産大学士編入学生1名)の計83名を対象として,「帯広基礎獣医学演習」及び「農畜産演習」を帯広畜産大学で実施しました。さらに,2年生(本学獣医学部進学者36名・帯広畜産大学共同獣医学課程38名)の計74名を対象として,「獣医学概論」「札幌基礎獣医学演習」を同日程にて本学で実施しました。北海道大学・帯広畜産大学共同獣医学課程は,本年度より夏期集中授業を1年生は帯広で,2年生は札幌で実施するという導入教育科目群の完全実施の段階に進みました。
獣医学導入科目群に属するこれらの科目は,1年生に対して,6年間の獣医学課程で学ぶ獣医学の全体像を把握させ,農畜産への幅広い興味や問題意識を育てるために実施されました。また,2年生に対して,動物の診療のほか,様々な分野の第一線で活躍する獣医師を講師として招き,各々の業務の内容,社会的役割・責任,課題などを紹介しました。さらに,獣医学研究科・獣医学部の教室,附属動物病院,動物実験施設等を見学しました。また,キャンパス内の学びの環境を知ることを目的に,本学の学生と帯広畜産大学の学生が一緒になって本学施設を見学することで交流を深めました。
1年生は獣医学の学体系を理解し基本となる畜産学を知ることで,広い視野をもって獣医学を学ぶ必要性を理解し,学修の目標を確認することができたと思います。また,2年生は獣医師の社会的位置付けを理解し,獣医学を学ぶモチベーションを確認することができたと確信しています。
昨年度の夏は帯広で1年生だけの演習で,初の試みのため,次年度に見直しを求める意見が寄せられましたが,今年度は宿泊施設や授業構成を変更することで,改善できたと思っています。2年生の授業は今年度から実施しましたが,昨年度のアンケートにあった「同級生との交流を深めたい」を具体化するため,本学の学生と帯広畜産大学の学生が混ざったグループでの行動を原則とし,計画的に見学・訪問するよう指導しました。しかし,札幌での演習は初年度であったこともあり,アンケートでは改善に向けた意見を含め様々な回答を得ました。
「獣医学概論」のアンケートでは,「あらゆる分野の獣医師の活躍を聞くことができて有意義であった」「紹介する職域に偏りがあった」「レポートを書く時間的余裕が無かった」「レポート課題が不明確だった」「世話教員と講師の先生とで情報連絡がうまく行っていない場合があった」など,概論で取り上げる職域について,次年度に向けて再検討する必要があります。「札幌基礎獣医学演習」は,主として教室の研究内容を紹介しましたが,「説明時間が短い」「興味のある教室の説明がほとんど聞けなかった」「グループの都合で人獣共通感染症リサーチセンターの説明が聞けなかったのが残念」「大学構内をツアーするより研究内容をもっと説明してほしかった」「宿舎が遠い」「宿舎が駅に近くて便利」「大学構内を詳しく見学できた」「丁寧に構内を案内してくれた北大生に感謝」など否定的・肯定的内容が入り乱れていました。次年度に向けてツアーの中身を熟考したいと思います。
最後に,図書の利用など帯広畜産大学の学生のELMS使用について,特段のご配慮をいただいたことは,「共同獣医学課程において分け隔てのない教育」を実現する上で,極めて重大でした。関連されました学内教職員の方々に感謝申し上げます。