北海道大学病院では,9月4日(水),医師や看護師,学生ら約200人が参加し,広域大規模災害の発生を想定した北大病院災害医療訓練を実施しました。
今回で10回目の節目となった訓練は,札幌近郊で大地震が発生し,一部医療機能が停止した状況で傷病者を受け入れなければならない,という想定で行われました。
予めそれぞれに設定された被災状況に応じたメイクを施された80名ほどの模擬被災者が,本番さながらに次々と本院に来院すると,外来玄関前と外来ホールに設置されたトリアージセンターでは,傷病者の緊急度や重症度によって治療や後方搬送の優先順位をトリアージタグと呼ばれるタグを用いて識別していきます。軽症者は緑,外傷者は黄色,重症者は赤,死亡の場合は黒に識別された模擬被災者が,院内3箇所に重症度別に設置された処置治療センターに振り分けられ,それぞれの対応センターで受け入れの確認が行われます。赤タグがつけられた重症者はアメニティホールに搬送され,担当職員らは声かけをしながら対応の流れを確認しました。今回は,DMATと呼ばれる災害時派遣医療チームも処置治療センター(赤)に配置され,合同訓練を行いました。また,処置治療センター以外にも,医療機器や物品の搬送,ボランティアの受け入れ,被災者の安否確認対応などの訓練も行われました。
約1時間にわたる訓練は,寳金清博病院長による訓練終了の宣言とともに終了し,引き続き,「病院機能を維持した状態ではなく,真冬の災害など条件を厳しくして実施することによって,組織・個人の力が試されることになるため,より高いレベルでの訓練を行うことが望ましい」との講評がありました。
訓練終了後は,各対応責任者によって訓練についての意見交換がなされ,今後の課題の抽出と改善策の検討を行っていくことで,災害医療体制をより優れたものに発展させるよう努めています。
また,9月6日(金)には,放射性物質,生化学物質などによる災害やテロの発生を想定したCBRNE(Chemical, Biological, Radiological, Nuclear,Explosives)災害対策訓練も実施されました。
訓練には札幌市消防局の消防隊員9名が視察する中,約30人が参加し,脱衣テント,除染テント等を設置し,防護服を着用した医師・看護師が,傷病者の到着から汚染の除去,病院内へ搬送するまでの手順を確認しました。
このような,大がかりな訓練を定期的に実施することにより,職員の危機意識の向上と,実際の災害に直面したとき,適切な対応が可能となることが期待されています。