訃報 名誉教授 舘脇 正和(たてわき まさかず) 氏 (享年80歳)
訃報

名誉教授 舘脇 正和 (たてわき まさかず) 氏 (享年80歳)

舘脇 正和 氏  名誉教授 舘脇正和氏は,平成25年11月2日逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。
 先生は,昭和8年5月23日名寄市に生まれ,同32年3月に北海道大学理学部生物学科(植物学専攻)を卒業,同大学院理学研究科に進んだ後,同36年4月より2年間,米国ハスキンス研究所の海洋生物学部門へ留学,昭和39年8月に北海道大学理学部助手となり,同42年に理学部附属海藻研究施設(現北方生物圏フィールド科学センター室蘭臨海実験所)に配置換となりました。同年6月理学博士の学位を授与され,同45年4月に助教授に昇任,同62年4月に教授に昇任と同時に附属海藻研究施設長を併任され,平成9年3月停年により退職,同年4月に北海道大学名誉教授の称号を授与されました。
 先生は,海藻類の栄養生理学,発生学,分類学,生態学の分野において,これらの研究の基礎となる培養装置及び培地,そして無菌培養法を始めとする海藻培養に適した種々の方法の開発・改良に尽力されました。
 また,紅藻類の成長にとってビタミンB12が必須であることを明らかにするとともに,緑藻マキヒトエが無菌培養の下では異常な形態形成を示し,混菌培養によって回復することを発見されました。これらは,海洋において様々な海藻やバクテリアが複雑に相互作用を受けながら生育していることを示す先駆的な研究となりました。
 さらに,海藻類の高機能性食品としての普及にも努められました。
 学内においては,理学部附属海藻研究施設長として,研究・実習設備の充実を図り,わが国の海藻培養研究の中心として発展させ,大学院生及び若い研究者の研究指導に力を尽くされました。
 学外では,日本藻類学会評議員・編集委員及び幹事,日本植物学会編集委員・学会奨励賞選考委員等を務められ,藻類学の発展に寄与されました。
 以上のように,先生は海藻培養研究の分野において多大な貢献をされ,多くの研究者の養成に尽力されました。
 ここに謹んで先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

(理学院・理学研究院・理学部)

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