9月4日(木)・5日(金)の2日間,第12回となる未来創薬・医療イノベーション拠点形成国際シンポジウムを,医学部学友会館フラテ大ホールにて開催しました。(企画:玉木長良教授・本事業医療部門研究統括,久下裕司アイソトープ総合センター教授,志賀 哲医学研究科准教授)
川端和重理事・副学長,笠原正典医学研究科長,神田忠雄氏(文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課 地域支援企画官)の挨拶に続き行われた国際シンポジウムでは,高精細のPET/SPECTシステム及び分子プローブの開発研究,さらには分子標的の化学療法・放射線治療に関する研究が進展していることを背景に,メインテーマを“Perspectives of Molecular Imaging and Target Therapy”(分子イメージングと標的治療の展望)に設定しました。将来の個別化医療の推進のため,分子レベルでの超早期診断,病態評価から最適治療までのストリームラインを確立することを目指して,そのための最新の機能診断法と最新治療の動向について,国内外から研究者をお招きして発表していただきました。
国外からは,核医学分野の若手研究者として世界的に活躍されているドイツ・ハノーバー医科大学のFrank M. Bengel教授が,分子,心血管細胞療法に関する分子イメージングの最新の研究動向について,また,放射線治療の立場から,アメリカ・MDアンダーソンがんセンターのJoe Y. Chang教授が,臨床腫瘍学の立場からみたPET/CTイメージングの研究と今後の展望等についてご講演されました。
国内からは,九州国際重粒子線がん治療センターの塩山善之副センター長に,重粒子線治療の最新動向等について,薬剤の分子イメージングの立場から,京都大学薬学研究科の小野正博准教授に,アルツハイマー病におけるPET/SPECTの分子イメージング研究の動向について,ご講演いただきました。また,国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)の機構長である筑波大学の柳沢正史教授には,オレキシンの発見から突然変異誘発個体を用いた睡眠研究,新たな創薬のターゲット開拓などについてご講演いただきました。
また,本学の若手研究者の発表として,MDアンダーソンがんセンターの留学から戻ったばかりの竹内 啓助教(医学研究科)が教育講演を行いました。
2日目は,10年間の実施期間の9年目となった当該事業における産学連携の取組について,「これまでの成果と今後の展望」と題したパネルディスカッションを実施しました。医療部門は「分子イメージングとイメージングデバイス」,創薬部門は「次世代医薬品候補を連続的に創出する拠点の形成」というテーマで,本学と協働企業の研究者がこれまでの成果を踏まえて,今後の研究活動や拠点形成について活発な議論を展開しました。
今回は,シンポジウムを締めくくる特別企画として,東京工業大学の大隅良典特任教授による「オートファジーを担う分子機構と生理機能」と題した特別教育講演もあり,会場では数多くの学生や研究者が熱心に大隅特任教授のご講演に耳を傾けていました。
毎年同時に行われているポスターセッションでは,例年より多い36題ものテーマが展示されました。今回からポスター賞が設けられ,「質の高い発表が多かった」と,審査委員長である玉木教授,五十嵐靖之特任教授・本事業創薬部門研究統括からの講評のあと,4名の受賞者にトロフィーが贈られました。
本シンポジウムには2日間を通して延べ340名もの来場者があり,成功裡に終了することができました。