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大島正健家関係資料を大学文書館で受贈

 10月31日(金),大学文書館では,札幌農学校第1期生大島正健のご令孫である大島智夫氏(横浜市立大学名誉教授)より,大島家ゆかりの資料1箱をご寄贈いただきました。
 大島正健(1859−1938年)は,1876(明治9)年に第1期生として札幌農学校に入学し,W.S.クラークに直接教えを受けました。卒業後は,農学校予科(本科に進学するための準備教育課程)の教員として主に英語を教授し,農学校生に大きな感化を与えました。
 1893(明治26)年に農学校を辞した後,同志社普通学校教授,私立奈良中学校長,山梨県立甲府中学校長,宮崎県立宮崎中学校長などを歴任し,青年の教育に尽力しました。
 また,札幌農学校在学中,W.S.クラークの影響で熱心なクリスチャンとなり,札幌バンド(近代日本のプロテスタント発祥の1つ)や札幌独立基督教会の創設に中心的な役割を担いました。講演や執筆活動で恩師W.S.クラークについて取り上げ,晩年に『クラーク先生とその弟子達』を刊行するなど,クラークの人物や功績を後世に伝える上で大きな役割を果たしました。
 この度受贈した資料は,(1)書簡19点,(2)手稿類5点,(3)ドイツ語訳聖書1点などです。(1)には,1876(明治9)年11月26日,大島正健が兄の正義に宛てた書簡が含まれています。開校まもない札幌農学校での学校生活の様子,生徒の目からみたクラーク・黒田清隆像などが記されており,大変重要な記録です。
 また,(2)は,北海道における女性作家のパイオニア大島千代(大島正健夫人)の雑記帳や,動物学者大島正満(大島正健長男)の中学生時代の日記帳,「鼠騒動」や「阿寒の王者」の原稿などです。
 また,(3)は,1665年にヴィッテンベルク(Wittenberg)で,Balthasar-Christoph Wustensより出版されたルター訳聖書です。聖書は,巻頭・巻末の一部分が欠損していますが,(1)旧約聖書の創世記〜雅歌,(2)旧約聖書の預言者(Die Propheten),(3)新約聖書(Das Neue Testament)の3部より構成されています。
 今後,受贈した資料は,2009(平成21)年9月に附属図書館北方資料室より移管された資料群(大島智夫氏寄贈資料)と合わせて整理・保管していきます。今年度末発行の『大学文書館年報』第10号には,書簡翻刻・目録等を掲載する予定です。
1665年出版のルター訳聖書(新約聖書)

1665年出版のルター訳聖書(新約聖書)

大島正健書簡(1876年11月26日付)

大島正健書簡(1876年11月26日付)

(大学文書館)

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