12月8日(月),大学文書館では,山形県の鶴岡市郷土資料館を介して,松本晴子氏からご祖父松本 友氏の旧蔵資料16箱の寄贈を受けました。
松本 友は,1891(明治24)年に山形県鶴岡に生まれました。山形県立荘内中学校を卒業後,1912(大正元)年に東北帝国大学農科大学(現在の北海道大学農学部)の農業技術を学ぶコースである農学実科に入学,1915(大正4)年に卒業しました。1921(大正10)年に北海道帝国大学農学部附属農場の助手となり,札幌キャンパス内の第一農場で主に育種を担当しました。1940(昭和15)年からは富良野の第八農場駐在となり,戦後は第八農場を改組した富良野農場の管理を担当しました。その後,富良野農場を閉鎖することが決まり,1965(昭和40)年に本学助手を辞して,山形県鶴岡に帰郷しました。
札幌キャンパス内にあった第一・第二農場が研究・教育のための大学直営農場と位置付けていたのに対し,第八・富良野農場は,小作人を入れて経営を行う小作農場でした。松本は,第八・富良野農場の現場で四半世紀にわたり,小作農場経営を監督しました。また,戦後の農地解放政策のために,大学も小作農場を順次整理することとなると,松本は富良野農場の管理者として,農地の解放と整理,小作人の農地解放運動にも対処しました。
今回,ご寄贈いただいた資料の大まかな内訳は,農場関係文書類7箱,書翰類3箱,日誌・原稿・ノート・メモ類2箱,新聞スクラップ類1箱,刊行物類3箱です。文書類は,本学の小作農場の経営実情を示す貴重な資料です。また,日記・ノート・メモなどには,農場経営の状況や育種実験などについても詳細に記録されています。
なお,松本 友は,本格的な北海道植民・開発事業を開始した1860年代末から1870年代半ばにかけて,開拓使官員として札幌・根室で北海道統治の責任者を務めた松本十郎(1839-1916年)の令孫にあたります。受贈した資料には,松本 友が執筆した十郎の伝記の原稿も含まれます。また,旧蔵資料の内,十郎に関するものは,郷里の鶴岡市郷土資料館が所蔵しています。
今後,大学文書館では受贈した「松本友関係資料」を,歴史的資料として利用できるよう,整理を進めていきます。