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経済学部で特別講演会「格差論の再燃−ピケティの衝撃とその
評価−」を開催

 経済学部では,7月17日(金)午後1時から,学術交流会館講堂において,京都女子大学現代社会学部客員教授(京都大学名誉教授)橘木俊詔先生による特別講演会「格差論の再燃−ピケティの衝撃とその評価−」を開催しました。
 講演者である橘木教授は兵庫県のご出身ですが,小樽商科大学を卒業され,米国のジョンズ・ホプキンス大学で博士号を取得された後,フランスの国立統計経済研究所,OECD,大阪大学,京都大学,同志社大学で,教育・研究に携わってこられ,今年4月からは京都女子大学の客員教授をなさっています。この間,2005年度には日本経済学会の会長も務められるなど,学会でも重要な役割を担われてきました。ご専門は労働経済学ですが,研究領域は幅広く,今回のテーマの格差問題についても,1998年の『日本の経済格差:所得と資産から考える』,2006年の『格差社会:何が問題なのか』をはじめ多くの著書・論文を発表され,この分野での日本の議論をリードしてこられました。
 講演では,まず日本の格差の現状など格差問題に関する基本的知識や分析枠組みの解説の後,機会の平等に注目することの重要性を説明され,それが日本で確保されなくなってきていることを,時系列比較や海外との比較によって示されました。また,最近大きな話題となったピケティの『21世紀の資本』については,ヨーロッパの膨大な歴史的データに基づいて格差拡大のメカニズムを明らかにした功績を評価する一方で,格差問題では,ピケティが注目した富裕層とそれ以外の格差より貧困層の問題が重要であることを強調されました。90分の講演後の30分間の質疑応答では,平等と効率性を両立させている北欧の例などについて,講演者と学生や研究者との間で熱心な議論が行われました。
 平日の午後にも関わらず約250名の参加者があり,学生以外の方が半数を超えていたことに,この講演に関する一般の方々の関心の高さがうかがえました。講演に関するアンケートでは,複雑な問題を分かりやすく説明してもらえたと,高い評価を得ました。また質疑応答が充実していたことも評価されました。
講演会の様子

講演会の様子

講演する橘木先生

講演する橘木先生

活発な質疑応答

活発な質疑応答

(経済学研究科・経済学部)

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