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北大農場公開デー「搾乳からアイスクリームまで」

 北方生物圏フィールド科学センター生物生産研究農場では,7月30日(木)に小学生と保護者11組21名を対象に農場公開を開催しました。
 生物生産研究農場は,毎年テーマを決めて農場の一般公開を企画し,農場内の施設紹介やそこで行われている教育研究活動について公開しています。今回は搾乳やアイスクリーム作りなどの体験を通して“どのようにして牛乳ができるか”“その牛乳からどのようにしてアイスクリームができるか”を学んでもらうことを目的としました。
 参加者はまず乳牛が飼育されている牛舎にて,防疫・衛生のため,つなぎやオーバーシューズを身につけ,技術職員が毎日行っている搾乳作業を見学した後,担当職員から手搾りの方法を教わってから搾乳体験を行いました。参加者からは「牛の体温が温かかった」「普段は体験できないことなので記念になった」等の感想をいただきました。
 牛舎内では,4日前に産まれたばかりの仔牛の紹介や,乾草,サイレージ及び濃厚飼料といった牛の餌について説明が行われました。次に,放牧地では,牛の糞が虫によって細かく穴があけられている様子を見てもらい,微生物による分解がされやすくなって牧草の肥料となることなどの説明が行われました。
 その後,アグリフードセンターに移動し,身支度や手洗い等を済ませてアイスクリーム作り体験に入りました。牛乳,生クリーム,脱脂粉乳,砂糖などの材料をよく混合してから,一定時間加熱殺菌してアイスクリームミックスを作り,このミックスをフリーザーによってマイナス20℃以下で15〜20分間冷却撹拌させて完成です。今回は時間の関係で,前もって作っておいたミックスを用いてフリージングの工程のみを行いました。参加者はフリージング後のアイスクリームを各々カップに入れ,さらに1時間ほど冷却させました。
 アイスクリームの冷却の待ち時間に,乳製品の製造に使う機械の説明や,乳牛及びアイスクリームについての講義が行われました。北方生物圏フィールド科学センターの三谷朋弘助教による乳牛の講義では,草食動物が胃の中で草を分解し栄養源とする仕組みや,乳牛の体内で牛乳ができる仕組みなどの説明がありました。農学部酪農食品科学研究室の小林 謙助教によるアイスクリームの講義では,今回の体験で省略したミックスを作るまでの各工程の詳細や,乳固形分や乳脂肪分の割合によってアイスクリームが4種類に分類されることなどの説明が行われました。
 講義の後,今回作ったアイスクリームの試食と北大農場で搾った牛乳の試飲を行いました。同時に乳固形分と乳脂肪分の割合が非常に高い濃厚なアイスクリームとの食べ比べや,市販の牛乳との飲み比べも行いました。どちらも味や食感の違いがはっきりとわかり,牛乳については「北大農場の牛乳が一番おいしい」との感想をいただきました。
 半日という短い時間でしたが,今回の公開実習企画は参加者から好評を得ることができました。参加者は「原料の生産(搾乳)から加工(アイスクリーム)まで」の一貫システムについて体験を通して学んだだけでなく,牛舎や放牧地の見学や講義によって,普段何気なく口にしている牛乳やアイスクリームなどの乳製品の知識がより一層深まったことと思います。
 今後も公開事業を通して地域の人にとって食に関する知識を身につける食育の場を提供していきます。
搾乳体験

搾乳体験

放牧地での説明

放牧地での説明

アイスクリーム作り

アイスクリーム作り

(北方生物圏フィールド科学センター)

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