8月2日(日)に函館キャンパスにおいて「ヤドカリのオスの婚活をのぞいてみよう」を開催しました。これは科学研究費助成事業「基盤研究(C):ヤドカリの配偶者選択:他個体との遭遇履歴を社会情報として利用するか」(研究代表者:和田 哲准教授)による成果をもとに,本学の科学研究の一部を体験してもらうプログラムです。
高校生を対象に募集し,遠方は熊本県や東京都等,道内外から訪れた8名の高校生を参加者に迎え,今年3月に竣工したばかりの新・管理研究棟において実施しました。開講式のあと,「行動生態学入門:ヤドカリの基本生態」と題した講義を行い,ひらめき☆ときめきサイエンス事業や科学研究費に関する説明を行った後に,行動生態学の基本的な考え方や,ヤドカリの生態に関する基礎的な知見,今回行う実験の手順などを説明しました。
その後,参加者が自ら実験を行い,ヤドカリの配偶者選択やメスをめぐるオス間闘争の行動観察や,オスは自分がガード中でも,他のオスがガードしているメスを調べる行動を示すことを観察しました。参加者は大変熱心に観察をしていました。
講義や実験の途中に挟んだ昼食やクッキータイムでは,当日スタッフとして参加していた水産学部の学生や講師,また参加者同士が,和やかな雰囲気で交流を図りました。
予定していた全ての実験が終了した後,昨年度,本学で学位を取得し,本事業の講師として招いた石原千晶博士(日本学術振興会PD(和歌山大学))にヤドカリの評価と個体識別に関する講演をしていただきました。石原博士には,さらに本学で卒業研究を始めた頃の話や大学院での研究生活で嬉しかったことなども紹介していただき,高校生である参加者にとって,大学での研究生活を知る良い機会になったと思います。最後に,修了式で修了証書の授与を行い,記念に集合写真を撮影して閉講となりました。
本プログラムを通して,参加者は,希少なサンプルや高額な機械がなくても,身近な道具を使って身近な動物を観察することにより,おもしろい現象を発見したり,感じた疑問を自分なりに追求することが出来るということを学び,「研究」というものをより身近に感じてもらえたと思います。
最後に,参加者募集から当日のサポートまで尽力してくださった教職員・学生並びに講師の方々に心より感謝申し上げます。