来春,平成28年度より,国立大学法人は,第3期中期目標期間に入ります。私自身,総長選挙に立候補した頃より,第3期に向けてのメッセージを述べてまいりました。第3期は,国立大学法人にとって,生き残りをかけた時代となるのではないか。そのための準備が必要だろうと議論してまいりました。この稿では,第3期に向けた準備状況と,現在見えてきた様相を,本学の構成員の方々にお知らせし,共通認識を持っていただく機会としたいと思います。
私が総長に就任した平成25年度,文部科学省から国立大学改革プランが出され,第2期の残余期間は,改革加速期間と位置付けられました。この間,すべての学部におけるミッションの再定義が実施され,大学のガバナンスに関する中教審答申が出されました。学校教育法,国立大学法人法の改正が行われ,本年4月に施行されたことは記憶に新しいところです。また,昨年来,第3期に向けた運営費交付金の在り方が各方面で議論されてきました。この議論に呼応する形で,平成26・27年度の概算要求では,これまでの予算要求の仕方が変化してきています。平成26年度概算では,運営費交付金の特別プロジェクト予算について,部局単位での予算要求ではなく大学全体での構想戦略としての説明を求められることとなりました。さらに,平成27年度概算では,運営費交付金の約5%を学長裁量経費とすることが求められました。
こうした流れのなかで,総長就任1年を期して,「北海道大学近未来戦略150」を策定し,本学の4つの基本理念を敷衍して,創基150年を迎える2026年に向けた戦略を立てました。昨年度には,文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援」タイプAに本学の構想「Hokkaidoユニバーサルキャンパス・イニシアチブ〜世界に開かれ世界と協働〜」が採択されましたが,この構想は「北大近未来戦略150」の10年の実行プランとなっています。また,昨年度前半には,私が各部局を回り,部局長をはじめ執行部の方々と懇談の時を持ち,これらの構想について説明を行い,各部局の将来構想についても聞かせていただきました。その後,安田和則理事・副学長の下,企画・経営室で,各部局からの意見も集約して,第3期中期目標・中期計画が練りあげられて来ています。
今年に入り,第3期の運営費交付金の配分方式が徐々に明らかにされてきています。まずは,国立大学に3つの重点支援の枠組みが提示され,このうちから一つの選択が求められ,本学は3番目の枠組み「世界最高水準の教育研究の重点支援を行う大学」に他の15大学とともに,手を挙げました。実際,この重点支援の枠組みの選択が予算にどう影響するのかは,今の時点では判然としません。また,これまでの特別プロジェクト予算は,大学の機能強化予算として項目経費の区分なく袋物として財務省に提出されています。実際の予算の概要は,年末まで明示がない模様です。
予算折衝の過程で明らかになってくる部分もあると思いますが,例年以上に予算編成過程が気になる年となりそうです。いずれは,年頭の挨拶でご報告できることを期待しています。