名誉教授 田中 明(たなか あきら) 氏(享年91歳)
![]() |
名誉教授 田中 明先生が,平成28年8月22日に逝去されました。ここに先生の生前のご功績とご薫陶を偲び,謹んで哀悼の意を表します。 先生は昭和22年に北海道帝国大学農学部農芸化学科を卒業後,同28年北海道大学助手,同42年同大学教授に昇任し,農学部農芸化学科作物栄養学講座担当となり,同63年3月停年により退官,同年4月北海道大学名誉教授の称号を授与されました。昭和37〜41年は,フィリピンに設立された国際稲研究所(IRRI)の初代植物生理部長として着任され,熱帯イネの超多収品種IR8の創出を主導し,「緑の革命」として国際的にも高く評価された著名な功績をあげられました。 先生は水稲の栄養生理研究を基盤として,当時の「肥料学」から「作物栄養学」という新しい学問分野を確立し,一貫して作物の生産性(収量)について独創的な研究を展開され,「緑の革命」のモデル実証へと繋がりました。これらの業績は,196報の学術論文や著書『水稲の栄養生理』 『熱帯稲作生態論』 『作物比較栄養生理』 『熱帯農業概論』などに纏められています。 これらの功績により,日本土壌肥料学会賞,日本農学賞,日本学士院賞,勲二等瑞宝章,国際コメ年記念研究功績賞等を受賞されています。また,日本土壌肥料学会会長,国際的にはSoil Science編集顧問,国際農業研究協議グループ(CGIAR)技術諮問委員,国際土壌科学会会長などの要職を歴任されました。 以上のように,先生は,長年にわたって学術の振興,教育,人材の養成,発展途上国における食糧問題の解決に対して多大な貢献をされ,その功績は国際的にも極めて顕著なものであります。先生の長年にわたるご貢献に改めて感謝し,謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 |