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教育学研究院附属子ども発達臨床研究センターが
第3回教職高度化セミナーを開催

 11月27日(日),教育学研究院附属子ども発達臨床研究センターが,第3回教職高度化フォーラム「社会的インクルージョンにむかう高校教育の変革」を開催しました。
 インクルーシブ教育の流れの中,高等学校においても発達障害をはじめとする教育上特別な支援を必要とする生徒への対応が求められています。本学の教職課程では毎年,全学で150人前後が中学校・高等学校の教員免許を取得していますが,特別支援教育に関連する講義は教職課程には位置づけられていないことから,特別支援教育や発達障害について大学でほとんど学ぶことのないまま教職につく学生もいると考えられます。教育上特別な支援を必要とする生徒へ対応できる力を養成することは,今後の教職課程の課題の一つといえます。そこで,今回の教職高度化フォーラムでは,高等学校における特別支援教育をテーマにシンポジウムを行いました。
 まず,教育学研究院の研究チームから北海道内の高等学校を対象に行った「特別支援教育に関する実態調査・意識調査」に基づいて,教育上特別な支援を必要とする生徒が87%の高校に在籍していること,特に,定時制高校や生徒数120人以下の小規模校において在籍率が高いことが報告されました。次いで,上士幌高等学校の特別支援教育コーディネーターである高橋江恵教諭から文部科学省のモデル事業による高等学校における特別支援教育の実践報告,文部科学省特別支援教育課の田中裕一調査官からは「高等学校における特別支援教育の方向性」について報告が行われました。
 以上の報告を踏まえ「高校生の出立をみんなで支えるために」というテーマで,特別な支援を必要としている生徒を支えるための高校教育の方向性や大学が果たす役割について,ディスカッションを行いました。教員養成に関わる学内の教員に加えて,高校のみならず,小学校,中学校や特別支援学校の教員,教育委員会等の行政関係者,高校生の支援に関わるNPO関係者など,幅広い層からの参加があり,活発な議論が行われました。議論の中では,北海道の地域特性を踏まえた体制作り,教育・福祉・医療・労働・地域の連携,各分野での人材育成等が課題として挙げられました。
 今回のシンポジウムを通して,高等学校での特別支援教育の重要性と課題について意識を共有することができ,大学における人材育成の課題も明らかにすることができました。今後は特別支援教育や教職課程に関わる教員に加えて,福祉・医療・労働といった各分野の研究者が連携し,北海道,さらには全国の教育施策につながる研究を推進していくことが必要といえます。
河原範毅北海道教育庁学校教育局高校教育課長による来賓挨拶

河原範毅北海道教育庁学校教育局高校教育課長
による来賓挨拶

(左から)田中文部科学省調査官,高橋上士幌高等学校教諭,関あゆみ教育学研究院准教授,司会の安達 潤教育学研究院教授

(左から)田中文部科学省調査官,高橋上士幌
高等学校教諭,関あゆみ教育学研究院准教授,
司会の安達 潤教育学研究院教授

ディスカッションの様子

ディスカッションの様子

(教育学院・教育学研究院・教育学部)

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