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経済学研究科地域経済経営ネットワーク研究センターで講演会
「企業の社会的責任と株主-被雇用者パートナーシップ:経験的分析」を開催

セミナー終了後の集合写真

セミナー終了後の集合写真

 経済学研究科では11月25日(金)に,中国・北京大学客員教授/韓国・ソウル大学校名誉教授である韓相震氏を招いて,講演会「企業の社会的責任と株主-被雇用者パートナーシップ:経験的分析」を経済学研究棟3階会議室で開催しました。本講演会は,経済学研究科地域経済経営ネットワーク研究センター(REBN)の主催で実施し,30名以上の出席者がありました。
 講演者の韓氏は,北京大学及びソウル大学校において,これまで社会学理論を専門とし,世界的に活躍してきました。また,韓国社会においては1980年以降の市民運動の中核的理論家として有名になり,様々な理論的・実践的成果を示してきました。「中民理論」と呼ばれるその理論は,新たに台頭する中産階級の意識を構成主義的な観点から理論化したものであり,また韓国における民主化運動の一つの理念を提起するものです。2000年代には金大中政権においてブレインとして活躍し,本年初めには新たに第3の党たる「国民の党」を創設するための準備委員長を務めています。こうした経験の背景には,彼自身の市民的コミュニタリアニズムに対する確固たる信念があり,その観点から経済活動の領域においても,新しい経済倫理の可能性を探っています。本講演では,株主と被雇用者のパートナーシップ(あるいはシェア,連帯)の意識が,今日の資本主義において,わずかであるとはいえ道徳的な進化の兆候として解釈できることを,様々なデータを使って実証的に示しました。
 質疑応答では,経済学研究科博士課程に在籍している金仁子氏が通訳を担当し,参加した学部生や中国からの留学生たちは積極的に質問しました。企業の規模,被雇用者の具体像(正規雇用/非正規雇用),地域社会との連携,ボーナスとしての株の配当との比較,日本の企業経営への含意,個別事例の一般化可能性などに関する問題が提起され,これらの質問への応答によって議論を深めることができました。質疑応答に1時間弱という時間を設けたことも含めて,本講演会は日本と韓国の間の相互理解と協調のための有意義な機会となりました。
韓氏

韓氏

活発な質疑応答の様子

活発な質疑応答の様子

(経済学研究科・経済学部)

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