キャリアセンター
変化を捉えたキャリア支援で社会へとつなぐ 学生の社会への一歩を後押しするため、実践的かつ体系的なキャリア形成の場として重要な役割を担っているキャリアセンター。 キャリアセンターの胎動は、1998年の学務部就職情報資料室に始まる。当時は、職員2名体制で就職情報の提供や就職ガイダンスを実施していた。その後、2004年の国立大学法人化を契機として、当時の中村睦男総長の強いリーダーシップのもと学務部キャリアセンターを設置、2017年には高等教育推進機構キャリアセンターに改組された。「これまでも各学部や学科、研究室単位で手厚い就職支援が行われ、それが今日まで受け継がれていますが、就職支援のみではなく充実したキャリア教育を支援する体制はここから始まりました」と、キャリアセンター長の松浦清隆特任教授は話す。
センターでは、キャリアコンサルタントの資格を持つアドバイザーや経験豊富な相談員が、専門的知識に基づき様々な就職相談に応じている。また、年間を通して数多くの就職ガイダンスやセミナー等を開催し、就職活動に役立つ情報を提供している。さらに、学士課程低学年次を対象としたインターンシップの支援など、早期のキャリア教育にも力を入れている。 センターで催している一大イベントが、北海道大学校友会エルムと共催している企業研究セミナー。学生が各企業・団体の業務内容やその業界の説明を直接聞ける場として毎年開催し、約700社の企業が参加、延べ約2万人の学生が来場しており、その規模は国内でも最大級だ。北大生の7割が道外に就職することもあり、全国から企業が集まってくる。今年はZoomを使用したオンライン形式のみでの開催となったが、学士課程3年次及び大学院修士課程1年次を中心に多くの学生が参加し、コロナ禍で先行き不透明な社会において、自身の進むべき道を決めるための情報収集を行った。 コロナ禍での就職支援
2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、就職活動は一変した。大学の授業はオンラインとなり学生同士で集まることが減っていく中、就職に関する情報を得る機会も少なくなり、不安を感じる学生も多かったという。
キャリアセンターでは、これまで培ってきた就職支援活動を続けながら、コロナ禍に対応する支援策を講じてきた。従来は就職相談を予約制の個別面談や電話相談により幅広く行っていたが、現在はZoom等による遠隔相談が主になっている。また、人を集めて開催していた各種イベントはオンラインとし、その模様を録画して自宅で後から視聴できるようにしたことに加え、紙媒体や対面で提供していたキャリア支援情報については、オンラインの教育情報システム(ELMS)からアクセスできるようにし、学生がコロナ禍以前と比べて遜色なく情報収集できるよう工夫を重ねている。 コロナ禍では企業からの情報提供や面接方法なども変化し、これまでとは違う指導も必要となった。例えばオンライン面接では、それに応じた服装や髪型、画面の映り方や話し方などを考えなければいけない。パソコン画面でのコミュニケーションでは目線の向け方が難しいため、目線を画面に向けることを基本にしつつも特に強く伝えたいタイミングではあえてカメラを見るなど、オンライン面接ならではのポイントを指導している。
センターの職員は、不安を抱える学生のニーズに応えるため、これまで以上に手厚いサービスを提供するという思いで、日々の業務に当たっているようだ。 より充実したサービスを目指して
就職支援活動の課題として以前から取り組んでいるのが、留学生に向けたサービスの充実だ。留学生数の増加に伴い、その相談件数も増えてきている。特に、日本の企業に就職したいという留学生が増えつつあるので、広範な専門性や言語対応が求められる。「限られた職員でベストを尽くして対応していますが、まだまだ留学生のニーズに応えきれていません」と松浦センター長。企業や大学のグローバル化にあわせ、就職支援も多様化していかなければならない。 留学生も日本人学生も、就職活動は学士課程3年次や大学院修士課程1年次から始めるのではなく、早い段階から考えることが大切だ。早期からインターンシップなどを経験することで、自分に合った職業は何かを意識しながら大学生活を送ることができる。「インターンシップでは目から鱗が落ちるような経験をしたと話す学生も多く、こうした経験を経ることで学業への取り組み方も変わってきます」と松浦センター長。「ぜひ早いうちから一緒にキャリアを考えましょう」と学生に呼び掛ける。
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