4.理系部局

○看護学概論  医学部・教授・森下 節子

1. 授業の目的・内容

本授業は医学部保健学科看護学専攻の1年次1学期に開講する最初の専門科目である。このため,看護学の構成要素および先駆者の生きた時代背景と業績を知り,自己の看護学を学ぶモチベーションを確認すること,日本ならびに海外の医療・看護の現状を知り,看護学を広い視野から学ぶ重要性を理解することを目的としている。内容は,看護の概念,看護と社会,保健福祉医療の連携,看護の法律,職業としての看護の歴史,看護の対象としての人間の理解,健康の概念,看護理論,生活環境,今日の日本の看護と国際協力と多岐にわたる。

2. 授業実行上の取組・工夫

授業形態は,学生の持つ創造性とモチベーションを高めるために,講義,グループワーク,技術演習を組み合わせて行っている。

授業プログラムは,看護学の構成要素である人間,看護,健康,環境の各要素を踏まえて,過去・現在・未来と時系列的に展開している。(1)看護学の現状:看護学の構成と看護理論,関連する法律,看護の対象である“人間”とその発達段階について講義する。(2)看護学の歴史的背景:19世紀後半のイギリスの人々の生活と社会環境において,F.ナイチンゲールが構築した職業としての看護とその教育システムについてグループワークを行い,その結果をプレゼンテーションする。(3)看護学の未来:国内外の医療・看護の状況について学生自身が情報を収集し,将来の展望についてグループワークを行った後に,学生による司会で,各グループの代表者によるパネルディスカッションを行う。

いくつかの授業形態を組み合わせながら,授業内容の理解を促進するための工夫として,授業の冒頭で,前回の授業を振り返り,今回の授業の進行と次回の授業予定と課題を説明する。また,授業終了後には,学生への課題として,講義内容に関する質問・意見・感想を提出させ,次回の授業で質問の回答,学生の率直な意見を紹介し,フィードバックしている。

本授業の特色として,学生は専門科目の初歩的レベルにあるが,様々な“環境”で生きる人々を支援する看護は,知識だけではなく,技術を習得しなければならない意味を理解させるために,あえて感染予防や環境調整(ベッドメーキング等)の技術演習を取り入れている。授業の工夫としては,授業の2週間前に筆者が作成した看護技術演習ノートブックを配布し,演習前に準備学習を,演習後に自己の技術の評価レポートを提出させ,学習の定着をはかっている。

以上のように,授業形態は講義中心ではなく,学習内容に沿って,異なる授業形態を組み合わせている。また,演習には筆者のほかに岩本,矢野,中澤と複数の教員が関わっている。こうして,学生は主体的に授業に参加し,看護学に関する視野を広げ,人間が健康に生きることについての授業を積み重ね,技術・知識・態度を統合している。

今,人々の“健康”に関する多様なニーズに対応できる看護実践の能力を備えた看護職者の育成が求められている。すなわち,知識・技術・態度の統合が看護実践の能力につながるよう,授業形態は教員と学生が相互にダイナミックに関わることが必要であると考える。

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