水産学部の取組

 ここでは「学生アンケート」結果に基づいて,部局として対応した結果について述べることとする。

 水産学部の教員は,各人が良い授業をやろうと努力はしていることは当然であるが,自分でやっていることがこれでいいのか,どのようにしてそれを客観的に確認しようとしているのか,また外部の人からは教員がどれだけ努力をしているのかも判らない状態である。そこで,水産学部では平成11年度(第1,2学期)及び平成12年度(第1学期)に水産学部教員が開講した専門科目で「授業アンケート」評価を受けた全教員の科目の評点からどのようなことがわかるのかを解析し,その結果を教授会で報告,FDの実施を通して教員にフィードバックした。さらに,部局独自の教員に対するアンケートを実施した結果もまとめた。これらの結果はすべて部局のFDで報告し,教員個人の授業改善を促した。以下その概要を報告する。

1 平成11年度(第1,2学期)および平成12年度(第1学期)の専門授業科目の評価結果の解析

点検評価委員会からの教員データに基づいて解析と報告を以下のとおり実施した。

(1)学科別の評点平均値の比較
学科によって評点の低い科目や高い科目の集中が認められた。学科評点平均値の低い学科には改善を促した。
(2)評点平均値ベスト5及びワースト5の学科公表
ワースト5に入っている授業科目数の多い学科に改善を促した。
(3)年代別の評点平均値の比較
若い年代の教員の方が明らかに評点平均が高かった。長年継続して授業を担当しているベテラン教員に対して,授業がマンネリにならないよう注意を喚起した。
(4)設問と科目評点との関連性
設問の中,「授業の履修目的を達成できた(設問13)」および「授業により知的に刺激された(設問6)」の2項目は科目評点平均とよく相関していた。
(5)クラスサイズと科目評点との関連性
クラスサイズの大きい場合には,一般に科目評点が低い傾向を示した。部局FDで改善方法等について論議した。

これらの解析結果は自己点検評価報告書に詳細に掲載報告すると共に,FDで活用した。

2 教員に対するアンケート調査の実施

 平成13年9月21日に水産学部教員に対するアンケートを実施した。
 担当教員が全員アンケート調査を受けていない,クラスサイズによって違い,必修科目と選択科目の違い,基礎科目とそうでない科目の違い,いいかげんな評価をしている学生も含まれるなど批判が多かったが,北海道大学として実施した「学生のアンケートによる授業評価」に基づいて何か工夫を行っている人は約86%に達していた。「参考になる」と「少し参考になる」を合わせると約81%の人が参考になると回答した。したがって,水産学部ではシラバスの充実(平成11年度)とアンケート調査の実施とその結果のフィードバックによって,教員の授業に対する意識の向上が認められた。

3 解析結果を部局FDで報告

(1)第4回FD(平成13年7月19日)
「『学生のアンケートによる授業評価』からみると学生は専門授業科目を厳しく評価している」と題して学生のアンケートによる授業評価のまとめを実施した。(平成11及び12年度専門科目の評価をうけた部局教員の評価について詳細に検討を行った。)その結果は自己点検評価報告書で詳細に報告した。
(2)第6回FD(平成14年7月29日)
「学生による授業アンケート調査(学部)のフィードバック」について(その2)
 クラスの大きさ別の分析結果,部局アンケート結果の報告を行った。
(3)第9回FD(平成16年12月24日)
(i)ミニレクチャー「学生による『授業アンケート』から見た自分の授業について」で評点の高い教員による自分の授業についてのミニレクチャーを行った(2名)。
(ii)「授業改善へのヒント」というタイトルでグループ作業を実施した。
多人数授業,実験・実習,朝一番の授業などについてグループ単位で案を出し,発表して討論を実施した。このような一連の部局としてのフィードバックを通して,専門科目の評価点は図1に示したように年ごとに高い評価に移行していることが明らかとなった。

このようなアンケートの実施,そのフィードバック,FDの実施から個人の努力が部局全体の専門科目で授業を改善するために役立ってきたと認識している。

(文責:水産科学研究院教育改善委員会委員長 猪上徳雄)

評点平均分布の変化

図1 水産学部専門授業科目の評点平均の分布の変化(平成11〜16年度)


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