まず,最初に歯学研究科の鈴木邦明教授に感謝したい。3年ほど前,一般教育演習を担当することに決まったとき,「ノーベル賞受賞のきっかけとなった論文を原語で読む」というユニークな授業形態を取る鈴木先生のシラバスを見つけ,お話を聞かせていただくとともにその形態を真似させていただくことを,快く了承いただいたからである。鈴木先生の着想を土台にさせていただいたことが受講生に受け入れられた大きな要因だと考えている。
a.科学技術英語の構造と読み方を知る,b.レーザの基本原理を定性的に理解する,および,c.レーザの基本原理の説明書(日本語版)を作成する,の3つを掲げている。
第1回目は英文のテキスト(約30ページ)を配布し,それを15回で和訳する旨を宣言する。1週当たり約2ページを15回にわたって訳していかねばならないことを納得させる。このとき,勤勉な学生以外は脱落するようだ。同時に,レーザの実物を見せ,また,受講生も少なくとも1つのレーザを個人的に所有している(CDプレーヤー)ことを告げて親近感やモチベーションを抱かせる事にしている。
高校卒業直後の学生を対象としているので,最初の4・5回は日本語で基本的な言葉の概念とレーザの動作原理を定性的に説明している。通常の辞書には出ていない科学技術用語については,専門の用語辞典からの引用とこれから訳すべき英文テキスト内での意味と,さらに,説明を加筆したプリントを配布している。
5回目ころに,和訳(一部分のみで可)を提出させ,添削して返却する。これにより受講生は科学技術に関する日本語の書き方のポイントをつかむようである。
その後は,受講生に和訳をさせて,より適切な和訳になるように指導する。最終回は研究室の光学暗室を案内し,レーザが実際に使われている様子を見学させている。最終レポート(和訳全文)の提出期限をその1週間後に設定し,添削している。3年間の受講生の内,約半数が添削したレポートを受け取りに来た。
評価が高くなった原因は,次の要因によると考えている。