理系部局

○ セルフケア・リハビリテーション看護 医学部・准教授・鷲見 尚己

1.授業の目的・内容

本科目は、療養生活支援を必要とする患者の身体的、心理的、社会的特徴を理解した上で、適応・回復を促し、社会復帰、自立(律)した生活への支援について学ぶことを目的とした、医学部保健学科看護学専攻4年生を対象とした選択科目です。現代社会における健康問題の特徴としては、生活習慣病の増加、脳血管障害など慢性的な経過を辿る疾患が増加し、長期にわたり病気とともに生活することを余儀なくされています。このような人々が病気とうまく付き合いながらどのように生活していくのか、また、何らかの健康障害を抱えながら生活をする人々の支援の方策を習得することは看護職として非常に重要になっています。特に、セルフケアやリハビリテーションが必要になる対象は、障害者ではなく、障害を持っている人が対象であるという観点から幅広く対象を理解した上で、看護者として基本的に必要とされる適切な知識と技術を身につけることを考えています。

2.授業実施上の取り組み・工夫

本授業は、講義と演習を組み合わせた構成になっています。講義では、セルフケアやリハビリテーション看護の概念、対象者を理解するために必要な理論、急性期リハビリテーションから回復期リハビリテーションについての実際の看護技術のあり方などについて説明しています。特に工夫した点は、具体的に事例を示すとともに、配布資料やスライド・ビデオなどを活用し、視覚的に理解を深められるようにしました。受講対象の4年生は、3年後期から4年前期にかけて、臨地実習に取り組んでいます。本授業を受ける時期は、4年前期の実習の後半と重なり、学生にとっては授業の内容が実習にそのまま直結するものであり、具体的なイメージ化がしやすい状況であったと考えます。臨床での具体例(脳血管障害の急性期、嚥下障害、熱傷患者の急性期リハビリ、人工肛門造設患者のケア)を挙げながら、学生自身の臨地実習の経験を振り返らせることで、学生の関心はより高まり興味を持ってもらうことができたのではないかと考えています。

演習時には、小グループでのグループワーク、教員のデモンストレーション、ビデオ視聴などを組み込み、学生が体験的に支援方法を理解できるようにしました。学生には事例を提示しながら具体的な看護支援方法を考えさせることで、より実践的な思考を育てています。学生数が小規模であるので、教員2名体制(高山望 助教)で直接的なアドバイスを行いながら演習を進めた点も効果的だったと考えています。

評価としては、出席状況、演習の参加状況とセルフケア・リハビリテーション看護に関するレポート提出です。学生に対し、試験のための学習ではなく、セルフケア・リハビリテーション看護に関する概念的な理解を深めることと、演習における積極的な学習姿勢と実践を求めていることを強調しました。

3.その他

今年度初開講ということで、できるだけ臨床での問題点や看護の実際を学生に理解してもらえるようにということを心がけました。学生の声からは「実習に実用できる内容ばかりだったのでもっと早く授業を受けたかった」「とてもためになるので3年全員が受けたらよい授業だった」とありました。肯定的な評価はとてもうれしく思いますし、私自身のモチベーションにもつながります。今後は、学生の関心や興味をさらに高めならが、実践的な能力を高められるような授業にしたいと考えております。


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