寳金清博総長

「ホームカミングデー ―大学のお盆―」

 北海道大学のキャンパスがわずかに色づき、最も美しい季節を迎える時期となりました。北海道大学のホームカミングデー2021にいらしていただき、心から感謝申し上げます。

 ホームカミングデーは、米国で始まり、卒業生・旧教職員が母校に一年に一度集まり、フットボールの試合観戦、音楽祭などのイベントに参加して、旧交を温め、現役の学生・教職員と交流を深める事業で、秋の季節に行われます。適切な日本語がないことや、日本における歴史が浅く知名度が低いこともあり、発展途上のイベントです。

 私たち、北海道大学では、在学生や教職員が、卒業生(OG/OB)を一年に一度、故郷である北海道大学にお迎えして、大学の「今」を紹介し、また、様々なイベントで交流を深めることが、このホームカミングデーの最大のミッションと考えています。

 これに加えて、北海道大学は、次の6年間の公的な目標の一つに、社会連携を掲げる予定です。そこで、卒業生はもちろん、広く地域社会や学生の保護者の方々との繋がりを強化する方針を重視しています。このホームカミングデーも、そういった活動の一つと捉えています。そこで、ゲストとして、卒業生だけでなく、学生の保護者の方々、包括連携協定を結んでいる北海道や企業の方々にもご案内しています。

 本学は、5年後の2026年に創基150年を迎えます。言うまでもなく、国内では有数の長い歴史であり、私たちには、数えきれないほどの先輩がおりますが、長い歴史ゆえ、すでに多くの先人は他界されています。従って、本学のような長い歴史を持つ大学にとって、ホームカミングデーは、大学の「お盆」だと思っています。つまり、一年に一度、この大学を育ててくれた先人への感謝を示す日という意義もあると思います。

 本学は、リベラルアーツを国際的視野で教育し、世界でも有数の広大なキャンパスを有する「比類なき」大学です。この素晴らしい財産を育て継承してきた先人に感謝し、卒業生も含めて、広く地域社会の方々と連携する大きなイベントとして育てていきたいと考えています。

 残念ながら、昨年2020年は、COVID19の感染状況が見通せないために、第9回の北海道大学ホームカミングデーを中止にせざるを得ませんでした。二年ぶりとなる今年のホームカミングデーもオンラインでの開催となり、本来の目的である多くの方々が集まり、大学の「今」と「比類なき伝統」を共有するという点では、物足りないと言わざるを得ません。しかし、皆様方のご支援で開催できますことに深く感謝申し上げますとともに、更に、来年に向けた大きな発展のきっかけにしたいと思っております。

 皆様の本学への更なるご支援を、心よりお願い申し上げます。

令和3年9月25日 北海道大学総長
寳金 清博
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