オピニオン Opinion

年頭のご挨拶 ―アフター&ウィズコロナの『社会連携』を目指して―

椅子に座って笑顔で話す寳金清博新総長

 新年、明けましておめでとうございます。

 人類史上に間違いなく記録され、記憶される西暦2020年が幕を閉じ、とにもかくにも、時間の歯車は回り、新たな年、西暦2021年が訪れました。

 当たり前の日常はすっかり姿を変えました。大学も授業の半分がオンラインとなり、会議はWeb会議が普通となり、教職員のリモートワークが日常となりました。最後に「宴会」を楽しんだ思い出は、遠く記憶の彼方へと消え去ってしまいました。酒席を持って、旧交を温め、あるいは、新たな連帯を皮膚温で感じるような、言わば「有朋自遠方来 不亦楽」の楽しみも奪われました。

 新年もこの新しい日常の中で迎えることになりました。いつもより人数のやや少ない寂しく短いお正月を過ごした方々も多いのではないでしょうか。昨年のお正月には、来たる年の始まりがこのようなものになることを誰一人予想もしていませんでした。

 未経験の混乱と困難と困惑の中で過ぎた西暦2020年でした。しかし、本当に私たちが試されるのは、この新年、西暦2021年だと確信しています。正確に言えば、人類がその知性、感性、理性の真価を試されるのは、この新年から始まる2-3年、あるいは10年間だと思います。今年の元旦は、私たちの真の力量が試される21世紀のルネサンスの始まりだと言っても過言ではありません。

 この新たな挑戦が始まる新年、北海道大学も新たな決意で、皆様と共に、新しい社会の共創に向けて動き出します。研究総合大学である北海道大学は、「教育」と「研究」を最大の使命として、社会から付託された責務を負っています。「教育」と「研究」は、大学という組織が生まれた中世以来、大学が存在する限り、未来永劫、変わることのない使命です。

マスクをつけて対面する寳金清博新総長

 しかし、加えて、「社会との連携」を「教育」「研究」と並列して、第三の明確な使命として位置付けることが,大学が指向する新たな方向性です。「社会との連携」は、大変に良い言葉ですが、実は、曖昧な言葉で、その実現は簡単なことではありません。

 社会に無原則に同調すること、あるいは、特定の組織との営利的な連携を目指すのではなく、必要な人々と適切な連携を結び、それが公共の「善」に結実するようなものでなければなりません。強いものばかりではなく、むしろ、弱い「社会」、あるいは、見逃されているような「小さな社会」と連携していくのが、大学に付託された新しい使命だと思っています。

 今年の新年の私のおみくじは、「大吉」でした。皆さんにも「強運」が巡ってくるはずです。「大吉」の総長も含めて、教職員一同、新年早々から、この新しいアフター・ウィズコロナの中での「社会との連携」を実現するために、様々な活動を開始いたします。社会と連携して歩む北海道大学を本年もどうかよろしくお願いいたします。最後に、今年一年、西暦2021年が、良い意味で人類史上に刻まれる特別な一年になることを期待しています。