オピニオン
Opinion
President's Column
President's Columnでは、大学を取り巻く国際的な話題にも触れながら、私が日頃思っていることを発信していきます。大学の国際化を考えると、今更ながら、こうしたメッセージ発信は英語で行うのが自然かと思います。留学生や海外の皆さんにも是非読んで戴きたいと思います。以前の日本語コラム「北光一閃」も下にアーカイブしていますのでそちらもご覧ください。
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No.11「A blue Nobel Prize week」ノーベル賞の受賞対象を見ると、科学の大きな転換点が見える。今年のノーベル賞のうち、物理学賞と化学賞は、いずれも、人工知能・AIに関連したものであった。特に、ノーベル化学賞については、AIを活用したたんぱく質の立体構造解析の業績に与えられた。
その内容は、この賞に相応しいものであり、文句なしの受賞であると敬意を表したい。しかし、科学に関わるものとして、大きな戸惑いも生まれた。それは、これまでのノーベル化学賞と異なり、業績の中核的な部分にAIによる解析があったことである。
その意味で、今年のノーベル賞は、大きな科学的業績がAIにより生まれる時代の幕開けを意味しているような気がする。 -
No.10「United States of America - An Enviable, chaotic superpower」1年ぶりに、大統領選間近のアメリカを訪問した。心なしかホームレスの人々が増えた。銃による不条理な犯罪を身近に感じ、根底にある人種差別の根深さ、そして、国際政治における課題も実感された。しかし、この30年に関して言えば、日米の力の差は、ますます拡大したように思われる。
今回もニューヨーク周辺の半導体産業の発展、そして、西海岸シリコンバレーの想像を超える発展を目の当たりにした。巨大な国土を持ち、現代の国家ビジョンの実験とも言えるような多様な人種が織りなす混沌とそこから生まれるエネルギーの大きさとダイナミズムを持つ国、アメリカにはいつも圧倒される。