オピニオン Opinion

年頭のご挨拶 光は北から----元年

寳金清博新総長

 新年、明けましておめでとうございます。

 本学をご支援いただいている関係者及び地域の皆様、学生及び教職員の皆様に心から新年のお祝いを申し上げます。

 本年、令和4年は、国立大学法人の第4期中期目標期間(2022年4月から2028年3月末)の初年度にあたります。加えて、この期間中の2026年に、本学は創基150周年の記念すべき節目を迎えます。4月からの特別な中期目標期間に向けて、私達は、明確で意欲的な6つのビジョンを準備しています。
 それは、1)世界レベルの研究と地域貢献につながる研究大学「北大」、2)大学院改革を中心とした教育大学「北大」、3)社会と共創する社会連携大学「北大」、4)新経営体「北大」、5)データ駆動型大学「北大」、6)持続可能な財務エコシステム「北大」、という6つのビジョンです。これらを連動させて歯車を回し、創基150周年の目標である「世界の課題、すなわち、SDGs実現に貢献する北海道大学」を目指します。
 1876年の開学以来、先人達が掲げ、そして、北大の長い歴史の中で醸成されてきた4つの理念「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」及び「実学の重視」は時代と共に進化し続けています。先に掲げた6つのビジョンを通して達成すべきSDGsの課題は、開学以来、本学が目指してきた地球的課題、地域の課題と完全に重なります。この本学の理念が、150年近い年月を経て、全く色褪せないばかりか、改めて輝きを増していることは、驚くべきことです。
 北海道大学は、その設立経緯や地政学的特徴を考えると、学術的多様性、構成員の多様性、そして、長く、環境との調和、サステナビリティの点で、他の大学とは峻別される誇るべき特性があります。そのことは、昨年末に発出した北大の多様性・包摂的社会を推進する「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」にも表れています。
 これこそ北海道大学が、時代に媚びることなく150年近く追い求めてきた最も自然な姿であり、本学が目指す「比類なき大学」「光は北から」の意味するところです。そして、これは、世界基準である「教育」・「研究」・「社会共創」を通して、世界と地域に貢献する総合研究大学の姿そのものと考えます。

 私達は、今年から始まる第4期中期目標期間に、大きな大学変革の時期に向かいます。昨年、10兆円ファンドが形成され、特定研究大学を支援する制度が発足する一方で、地域の中核となる大学のための振興パッケージ制度も具体化します。これは、新制大学が成立した1947年、そして、国立大学が独立行政法人化した2004年に次いで、国立大学法人が大きな変革期を迎えることと考えています。
 北海道大学は、この重要な大学改革の牽引車として、勇気をもって、前に進みたいと思います。この年頭の挨拶に「光は北から----元年」というサブタイトルを付けました。「比類なき大学」に向け、昨年から準備してきたビジョンを推進し、創基150周年に向かう最初の一年にしたいと願っています。皆様の力強いご支援を重ねてお願い申し上げます。
 令和4年が、皆様と北海道大学にとって、素晴らしい飛躍の一年となることを祈念し、皆様のご期待に応えるように全力を尽くすことをお約束します。末筆ではございますが、皆様の今年一年のご健勝をお祈り申し上げて、年頭の挨拶とさせていただきます。

寳金清博新総長