去る3月19日(水)13時半より,北大総合博物館前館長の藤田正一氏の退官記念講演が総合博物館で行われました。タイトルは「青春に悔いなし−『都ぞ弥生』『We
Shall Overcome』『戦場にかける橋』そして『都ぞ弥生』再び−」。北大元副学長の経歴も持つ藤田氏ですが,この講演は氏が「自ら選んだ波乱の半生を多いに語る」というあまり聞くことのできない貴重な機会となり,会場には100人に迫る各方面の聴講者が集まりました。
当日語られた内容はまさに氏の半生を綴ったもので,涙あり笑いあり,またたくさんの心打つ出会いと別れに満ちたものでした。下に講演要旨を記します。
『特に貧しいというわけではない。普通の家庭に育った。湘南高校3年生のときに聞いた北大恵迪寮寮歌「都ぞ弥生」に憧れ北大へ,恵迪寮に入寮,応援団での磊落な日々,団長,卒業後アメリカ留学,緑茂れるオレゴンでの豊かな日々,皿洗い,掃除人,メールマン,キング牧師の死,ベトナム反戦運動,1970年オレゴン市民の「沖縄からの毒ガス返還反対運動」に対するたった一人の「毒ガス無毒化」運動,ニューヨークアルバート・アインスタイン医科大学,ユダヤ文化との出会い,薬理学試験落第点,博士論文,ユダヤ女性との恋,ワールドトレードセンター最上階のレストランで聞いた「戦場にかける橋」,帰国,千葉大薬学部助教授,北大獣医学部教授,評議員,学部長,総長補佐,副学長,博物館館長,副学長のとき,一年生向け総合講義「北海道大学の人と学問」で北大の歴史を語り『都ぞ弥生』を歌う。4年後,この講義を聴いた経済学部の学生が卒業に際して面会に来る。「先生の書かれた『北海道大学に通底する精神と教育思想の歴史』を泣きながら読みました。」という熱血漢。2年後,彼の死,葬送に歌った「都ぞ弥生」とエール。藤田氏はまだ青春真っ只中。』
氏と交流のあったすべての人々や土地への親しみの気持ちが伝わる3時間でした。氏に影響を受けた若者の一人として得るもの多く,明日への架け橋を感じるご講演でした。藤田先生に心からお礼申し上げ,またエールを送りたいと思います。 |
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講演する藤田教授 |
ポスター |
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(総合博物館) |
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