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総合博物館でパラタクソノミスト養成講座を開催

 総合博物館では,平成16年より,学術標本やサンプルを正しく同定し,整理する能力を有し,環境調査・教育において必要とされる人材である「準分類学者(パラタクソノミスト)を養成することを目的にパラタクソノミスト養成講座を開催しています。平成20年度の後期からは北海道教育GP「博物館を舞台とした体験型全人教育の推進」のもとで開催してきました。今年度前期には,計16講座の開講が予定されており,4月には下記の日程で,鉄器パラタクソノミスト養成講座(初級)が開催されました。
 
鉄器パラタクソノミスト養成講座(初級)
 4月17日(土)に,当館の天野哲也教授が講師を務め,北海道大学総合博物館で開催され,学生や市民ら10名が参加しました。
 まず,講師及びスタッフの紹介があり,本日の講座の内容についての説明がなされました。次に,天野講師から,鉄や考古学における鉄器についての講義が行われました。講義では,天野講師がどのように考古学の道を歩んで来たのかについてのお話を交えながら,鉄の元素としての性質や自然界に存在する鉄の鉱石からどのように純粋な鉄を得るか,また製鉄の歴史やインドやグルジアなど世界各地における製鉄などについて講義されました。その後,博物館2階のオホーツク文化における鉄器展示物を見学し,参加者は,天野講師の説明に熱心に耳を傾けていました。
 午後からは,実際にオホーツク地方で発掘された鉄器を観察・スケッチし,鉄器の考古学的な分類の方法を学びました。観察終了後,15分ほどの説明・諸注意を挟んで五寸釘からナイフを作成する実習を行いました。実習では,固定する金具を持つ役と金槌で叩く役の2人1組になり,まず七輪を用いて五寸釘を熱し,それをレール台の上で叩き,大まかなナイフの形になるよう薄く延ばして行きました。ある程度まで形を整え終わると,平たく延ばした五寸釘を改めて赤くなるまで加熱し,水の中に入れ急冷する「焼き入れ」を行ないました。「焼き入れ」が終了したら,ベルトサンダーを用いて研磨を行い,平べったい形の五寸釘をナイフのような金属光沢や切れ味が出るよう砥ぎました。参加者は,思うような形に鉄を延ばすことができず,苦労していましたが,その後の研磨作業では,時間の経つのも忘れてナイフの整形に熱心に取り組んでいました。最終的には,全員1本以上のナイフを完成させ,実習は終了しました。
 
ナイフ制作に取り組む参加者 講義を行う天野講師 博物館展示について説明する天野講師と参加者
ナイフ制作に取り組む参加者 講義を行う天野講師 博物館展示について説明する
天野講師と参加者
 
(総合博物館)
 

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