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電子科学研究所を一般公開

 電子科学研究所の一般公開が,中央キャンパス総合研究棟1号館1階・2号館4,5階で,6月5日(土)に行われました。昨年度は研究所の移転時期と重なったため,一般公開を行うことができませんでしたが,市民の方々から「最先端の科学技術に触れる貴重な機会。ぜひ続けてほしい」という熱いお声をいただき,一般公開の再開を決定いたしました。
 当日は晴天にも恵まれ,参加者数は約1,400名と,実に多くの市民の方々が会場を訪れました。特に家族連れが多く,小さな子供を連れたお母さんやお父さんの姿が目立ちました。見学後のアンケートで得られた回答結果(413名)は,家族連れ(70%)が友人・知人同士(17%)を引き離して圧倒的に多かったことを示しています。
 本研究所の一般公開を知った理由としては「家族・知人などに聞いて」(28%),「たて看板を見て」(22%),「一般公開パンフレットを見て」(20%),「各種報道を見て」(14%)となっていました。北海道新聞の5月31日(月)夕刊,6月4日(金)朝刊,NHKのラジオ番組「つながるラジオ 金曜旅倶楽部」(6月4日)などで本研究所の一般公開を紹介して頂きました。
 一般公開では,山形県鶴岡市立加茂水族館のご厚意で,下村脩先生のノーベル化学賞で一躍有名になったオワンクラゲ(発光色)とウリクラゲ(反射干渉色)を特別にお借りすることができました。オワンクラゲは繁殖が難しいとされており,北海道でもオワンクラゲを常時展示している水族館はないそうです。今年はこのオワンクラゲをガラス容器に入れて発光現象を間近に手にとってご覧いただくという,趣向を凝らした展示を企画しました。その様子は朝日新聞の6月6日(日)朝刊に掲載されました。このほかにも,身近にある洗剤や洗濯のりから作る“巨大なシャボン玉のサイエンス”や,“脳が感じる錯視の世界”,“粘菌を使って迷路を解かせる実験”などが多くの参加者の関心を集めました。また,3名の教授による“サイエンストーク”では,光子の不思議な振る舞いについて漫画を使って説明したり,電池が実は蛙を使った実験に端を発していたことについて歴史を紐解きながら解説したり,また,身の回りにある粘菌が鉄道の交通網を再現することなどを紹介しました。
 展示,講演ともに市民の方々に大変興味を持っていただき,「小学生,幼児の子供達が目を輝かせていました。理科への興味も広がり連れてきてよかったです」,「未来の化学者が育つような取り組みだと思いました」,「子供にもわかるように一生懸命説明して下さり,学生さんの熱意が伝わりました」などの好意的な感想が数多く寄せられました。
 会場の玄関前広場は,終日,シャボン玉遊びをする子供や家族で賑わいました。親子で夢中になって展示に見入っている参加者の姿が印象的であり,研究の紹介を超えて,研究所と市民が一体となった一日となりました。
 今年はこれまでの一般公開と異なり,本研究所のおよそ8割の研究室が中央キャンパスから北キャンパスへ移転しており,各研究分野が中央キャンパスに出張してブースを出すという形式をとりました。そのため,市民の方々から「建物の中が狭く感じた。ブースにもう少しゆとりがほしい。実験装置を見てみたい」といったご意見をいただきました。北キャンパスでの開催に関しては「北キャンパスの他の研究所・センターも一般公開を行うのであれば,より多くの先端研究に触れられるので遠くても参加してみたい」,「JAXAつくば宇宙センターのツアーのように,中央キャンパスで説明を行い,バスで送迎するツアーだったら参加してみたい。大学全体でできないか?」,「移動手段が何か考えられると高齢者や幼児連れ等にも利用できると思う」などのご意見もありました。本学の教育研究活動を市民の方々に広く理解していただくための貴重なご意見として,今後検討していきたいと思います。

 
ブースでの実験風景 サイエンストークの会場風景
ブースでの実験風景 サイエンストークの会場風景
玄関前広場でシャボン玉をする子どもたち  
玄関前広場でシャボン玉をする子どもたち  
 
(電子科学研究所)
 

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