11月26日(金),大学文書館は,辺見孝子 氏ならびに塗彩子 氏から,故 安孫子三郎 氏のご遺品をご寄贈いただきました。辺見孝子 氏,塗彩子 氏は安孫子三郎 氏のご息女です。
安孫子三郎 氏は1916(大正5)年に生まれ,1938(昭和13)年に北海道帝国大学農学実科に入学,卒業後は農学部に進学し食用作物学教室で学んでいました。1941(昭和16)年10月に臨時召集を受け,入隊しました。同氏は「赤紙」を受け取ったときのことを「遂に来るものが来たと云った感じで,自分の運命に区切りをつけるときが来たのだと,自分に云い聞かせて,覚悟を決めた」と回想しています。同氏は台湾・サイゴン・シンガポールに従軍し,1946(昭和21)年6月に復員しました。
このたび受贈した資料は,出征にあたり大学で行なわれた「壮行会」で贈られた,「日の丸」寄せ書きや回想原稿などです。寄せ書きには,第4代総長 今裕の「丹心答聖明 祝安孫子三郎君壮途」や,「祈武運長久」(伊藤誠哉農学部長),「神意建設」(手島寅雄教授),「祝壮途」(長尾正人教授),「自彊不息」(島善鄰教授),「不倒不屈」(菊池武直夫教授)などの勇ましい送辞に混じって,千代子さん,知子さんが「兄さんしっかり」という心溢れる言葉を送っており,時代の雰囲気を現在に強く伝えています。
大学文書館では,ご寄贈いただいた資料を大切に保存し,大学と戦争の関わりを示す貴重な資料として,展示等で広くご紹介していきたいと思います。 |
|
 |
安孫子三郎氏に贈られた「日の丸」寄せ書き |
|
|
(大学文書館) |
|
|