7月4日(金),大学文書館では,札幌市から,「遠友夜学校関係資料」575件の寄贈を受けました。
遠友夜学校は,1894(明治27)年に札幌農学校教授であった新渡戸稲造と妻メアリーが札幌に創設した,貧困等で学校に通学できない子どもたちのための学校です。当初は初等部の運営に主眼を置きましたが,後には時代の要請に合わせて中等部を整備しました。学校の運営には有志の市民が当たり,宮部金吾,大島金太郎,有島武郎,半澤 洵といった札幌農学校・北大関係者が中心的な役割を果たしました。また,多くの農学校生・北大生が教師を務めました。1944(昭和19)年,戦時体制の中で一定の役割を終え,50年に及ぶ歴史に幕を閉じました。
その後,1964(昭和39)年に遠友夜学校の財団法人が解散する際,財団法人が保有する「遠友夜学校関係資料」を,札幌市が受贈しました。札幌市では記念室を設けて資料展示を行い,広く遠友夜学校の活動・歴史・理念などを紹介してきました。今後,この貴重な資料を次の世代へと受け継ぎ,遠友夜学校について語り継いでいく必要があるとの問題意識のもと,札幌市と本学との間で資料の寄贈について合意し,今回の資料移管に至りました。
この度受贈した資料は,生徒作文集,庶務・教務・会計関係の文書類,事業報告,夜学校刊行物,生徒用の図書,墨蹟,写真などの遠友夜学校旧蔵の資料類です。今後は,大学文書館において,精査と整理を行い,貴重な歴史的資料として良好な環境で保存することに努め,資料の状態を十分に考慮した利用のあり方を考えていきます。また,展示や研究調査等を通じ,遠友夜学校と資料について紹介していきます。
9月からは,百年記念会館2階展示ホールにおいて,遠友夜学校と「遠友夜学校関係資料」を紹介する小展示を行います。遠友夜学校の歴史,そして本学との深い結び付きについて,読み取っていただければと思います。