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メディア・コミュニケーション研究院で日韓国際セミナー
「日韓両国の社会文化的視線と学問的交流」を開催

 メディア・コミュニケーション研究院と韓国研究財団が支援する「ネットワーク社会と共有価値」研究事業団による日韓国際セミナー「日韓両国の社会文化的視線と学問的交流」を,1月6日(火)にファカルティハウス「エンレイソウ」第1会議室にて開催しました。
 建国大学校,延世大学校,ソウル大学校など6大学の構成員からなる同研究事業団は,社会科学研究支援事業(Social Science Korea)による大型プロジェクトとして,コミュニケーション,経営情報,コンピューター工学など文理融合の学際的,産学連携的な研究活動を展開しています。また,学術活動とともに国際的な連帯活動としてネットワーク構築にも力を入れており,この度,本研究院と共同で国際セミナーを開催しました。
 団長の建国大学校の黄 勇碩(ファン・ヨンソク)教授は,韓国におけるオンライン・ジャーナリズム研究の第一人者です。これまでの融合メディア研究の経験を活かして,経済学,経営学の分野と連携を図りながら,市場経済と市民社会領域で個別に展開されてきた学問的視角を統合して学際的理論化を目指すとともに,企業価値と公益的価値が相互結合する超ネットワーク社会における経済的・社会的価値を創出し,その共有価値を拡散する実践的課題にも取り組んでいます。
 一方,拡張的な情報空間はますます拡大すると思われ,それに対応する研究領域を開拓していくことは避けられません。そうした意味で今回の日韓国際セミナーは,本研究院においても東アジアメディア研究を軸に領域横断的な協働を促進していく上で重要な意義を持ち,今後の国際的な共同研究への足がかりになったと言えます。
 セミナーでは最初に,黄教授が「東アジアにおけるサイバー・ナショナリズムとオンライン葛藤」というタイトルで発表を行いました。日韓では,ともにネット空間で排外主義的なナショナリズムが活発化していますが,両国の比較分析を通して極端主義的な行動の特徴とサイバー・ナショナリズムの政治的・社会的意味を分析したことは,時宜にかなう喫緊の問題を提示するものでした。
 続いて,本研究院の内田純一准教授(観光学高等研究センター所属)が「ソーシャル・メディア空間における都市イメージ言説とデスティネーション・ブランディング」と題し,ソウルと東京の2大都市,さらに札幌を対象に,都市・地域のレベルで発信する観光メッセージが,旅行者の抱く都市・地域のイメージにどの程度の影響を及ぼすかについて考察した研究成果について発表を行いました。韓国側からは、従来のイメージ・マイニング研究に多く見られた企業広告メッセージによる製品イメージへの影響といった「モノ」分野から,観光地イメージという「コト」分野に研究の応用領域を拡げる試みとして評価されました。
 セミナーには,韓国側から11名,本研究院から13名が参加しました。各報告に対して日韓でそれぞれコメントを行い,刺激に満ちた総合討論を通して有意義な学術的交流ができました。なお,セミナーの開始に先立って記念品を交換し,懇親会では今後の共同研究の可能性も含めた持続的な交流の展望について話し合いました。
司会を務める清水賢一郎准教授

司会を務める清水賢一郎准教授

黄教授の報告

黄教授の報告

(国際広報メディア・観光学院,メディア・コミュニケーション研究院)

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