理学院・理学研究院・理学部,生命科学院,総合化学院は,3月19日(木)午後2時より,最近,本学でも問題になっている学生の「メンタルヘルス」と,新たな教育手法として注目されているものの,実態を知る人が少ない「アクティブラーニング」について,合同でFD研修会を行いました。
はじめに,平成26年度の理学研究院の各部門でのFD研修会の状況が報告され,その後,本学保健センターカウンセラーの武田弘子先生から「北大における学生の自殺の現状と予防対策」について講演があり,自殺につながる不登校,ひきこもり対策の要点やその流れ,保健センターで用意されているプログラムなど,実際の具体例を挙げての丁寧な説明がありました。特に,研究室で過ごす時間の多い大学院生は,本人の変化を研究室の教員が敏感に感じ取り,対応については保健センターと連絡を取ってその原因の特定や支援方針を早急に決めることが重要であることが示されました。
後半は,アクティブラーニングに関する講演2件でした。理学研究院の小田 研教授からは「アクティブラーニングに対する基礎科学系大学院の最近の取り組み」という題目で,「デザインスクール」,「PBL(Problem Based Learning:問題解決型学習,あるいは,Project Based Learning:課題解決型学習)」や「アントレプレナー講習」といった,最近教育の現場でよく耳にするもののその実態がよく理解されていない「アクティブラーニング」について,その必要性と理学研究院等がどのような取り組みを行ってきたかについて紹介がありました。理学研究院等では全学に先駆けてこのような「アクティブラーニング」関連の講習会や研究会を開催することで,基礎科学系教育における「アクティブラーニング」の現状や問題点,その効果的な実施について検討しており,平成27年度からは理学研究院内にアクティブラーニング推進室を立ち上げ,構成員へのアクティブラーニングの情報提供やその実施方法等について検討することが報告されました。
組織開発推進室プロセスコンサルタント・ファシリテーターの内田龍之介氏からは,「ファシリテーションの理解と事例のご紹介」という題目で,問題解決のための話し合いや打ち合わせにおいて,その議論を結論に導く司会役「ファシリテーター」の技法である「ファシリテーション」について実例を挙げて紹介いただきました。講演の後半は実際に内田氏がファシリテーターを務めて,参加者全員がグループごとに議論することにより,これまで言葉としてしか理解できていなかった「ファシリテーター」や「ファシリテーション」について,その内容や効果について実感することができました。
理学研究院ではアクティブラーニング推進室を中心として,今後もこのような研修会を通じて基礎科学系における新たな教育的技法の紹介,開発,実施における相談及びその周知活動を進め,本学における次世代の基礎科学系教育と世界の課題解決を牽引する人材育成に貢献することを目指しています。