3月4日(水),教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター教職高度化研究部門が教職高度化フォーラム「北海道大学における教職課程の役割と今後に向けて」を開催しました。
日本女子大学の吉崎静夫教授による講演「教師教育研究の発展と総合大学の役割」では,1980年代以降に世界的に「授業研究」と「教師教育」をつなぐ研究領域に関心が集まってきた経緯,そして現在の鍵概念になっている「授業研究(Lesson Study)」,「専門的な学習共同体(Professional Learning Community)」について,日本の教師教育及び教育実践研究が推進すべきことが紹介されました。その上で,総合大学における教職課程を高度化するための方途や,研究志向の大学が果たすべき教育研究者養成の指針が示されました。
シンポジウムでは,「総合大学における教職課程の役割と今後に向けて」というテーマのもと,4名のシンポジストの発表,指定討論者からのコメント,そしてフロアを交えた議論が行われました。
本学の姫野完治准教授は,学生が教職課程を履修するプロセスや教職志向の動機,学部卒業後の進路等を分析し,大学院における教職課程の高度化や教師教育研究の充実について発表しました。石村源生准教授は,本学におけるCoSTEP(科学技術コミュニケーション教育研究部門)の取り組みを紹介するとともに,教職課程における科学技術コミュニケーション教育の意義を発表しました。名古屋大学の柴田好章准教授は,名古屋大学が新たに新領域「教師教育学」を設立するに至った経緯や,研究総合大学における教育学部に求められること等を発表しました。岡山大学の高旗浩志教授は,教職への意欲向上期,学校教育理解期,教育実践力養成期の3期に分けてコアカリキュラムを設けた教職課程を通して,教職課程履修生や成績がどのように変容したかを発表しました。
4名の発表と吉崎教授の指定討論をふまえて,フロアを交えた討論が行われ,「教職の高度化」をいかに捉えるか,今後の中等教育改革にむけた総合大学の教職課程改革,研究総合大学の教育学部が果たす役割等について活発な議論が交わされました。