名誉教授 八鍬 利郎(やくわ としろう) 氏(享年87歳)
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名誉教授 八鍬利郎氏は,平成27年9月11日にご逝去されました。 先生は,昭和3年8月27日神戸市に生まれ,同26年3月北海道大学農学部を卒業,同28年3月北海道大学大学院研究奨学生修了後,同年6月北海道大学農学部助手,同40年7月同助教授,同60年4月同教授に昇任され,果樹蔬菜園芸学講座を担任されました。また,昭和40年10月から北海道大学大学院農学研究科農学専攻の授業を担当されました。平成4年3月北海道大学を停年退職し,同年4月北海道大学名誉教授の称号を授与されました。 本学在任中,先生は園芸学の研究と教育に尽力されました。研究においては,野菜の中でも極めて重要なグループであるネギ属植物について,形態形成過程を独創的な方法により探究し,その機構を解明されました。この成果を取りまとめた論文「葱属植物の分げつ・分球に関する研究」に対し昭和37年1月北海道大学から農学博士の学位を授与されました。昭和41年1月から1年間,カナダ・サマーランド研究所において園芸学の研究に従事され,帰国後はバイオテクノロジーを利用した園芸作物の増殖及び品種改良技術に関する研究を先導され,その発展の基礎を築かれました。また,アスパラガス及びヤマノイモ属植物の品種改良に関する研究にも精力的に取り組まれ,育種技術の発展及び新品種開発に成果を挙げられました。この「アスパラガスの超雄株を利用した全雄品種育成に関する研究」は学術的にも高く評価され,昭和59年4月に園芸学会功績賞を受賞しておられます。 研究以外では,学内において昭和62年8月から平成3年8月まで,農学部附属農場長として,2期4年間管理運営に尽力され,農学教育の根幹を成す実習教育に多大なる努力を傾注されました。また,学外において北海道開発局国営土地改良事業調査専門技術者,農林水産省重要野菜必要入荷量作成検討会委員,北海道種苗審議会委員,札幌市菊まつり実行委員長及び北海道園芸会会長などを歴任され,斯界の発展に尽力されました。 学会活動においては,昭和56年4月から同61年3月の2期にわたり園芸学会評議員を担当されたほか,園芸学会平成3年度秋季大会実行委員会委員長を務められました。定年退職後は,北海道武蔵女子短期大学の専任教授,学校法人八紘学園北海道農業専門学校評議員及び理事を歴任され,教育の進展に寄与されました。 ここに先生の功績とお人柄を偲び,謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 |