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教育学部でESDキャンパスアジア・パシフィックプログラム2016
(北大プログラム)を開催

 教育学部では,「社会の持続可能な発展にとって教育のもつ役割は何か」を主題とした双方向型短期留学支援事業であるESD(Education for Sustainable Development:持続可能な発展のための教育)キャンパスアジア・プログラムを,韓国・高麗大学校とソウル国立大学校,中国・北京師範大学及びタイ・チュラロンコン大学の各教育学部と連携して,平成23年から毎年開催しています。今年度は,これら海外4大学にロシア・サハリン国立大学教育学部が加わり,「ESDキャンパスアジア・パシフィックプログラム」として,新たな一歩を踏み出し,北大生20名,海外生20名が参加しています。
 本学で行う「ESD北大プログラム」の開催に先立ち,本プログラム参加学部生を対象とした教育学国際講義(ESD事前学習)を開講し,HUSTEP国際交流科目受講生と合同で,スーパーグローバルハイスクールである市立札幌開成中等教育学校との高大連携により同校教諭・生徒との協働開講が実現でき,英語によるコミュニケーション・プレゼンテーション力量の向上を目指した新たな取り組みを展開しました。
 今年度6回目を迎える「ESD北大プログラム」は,Hokkaidoサマー・インスティチュート(HSI)と同期間の,7月20日(水)から29日(金)までの10日間の日程で開催しました。初日の歓迎レセプションによりプログラムの幕が開き,2日目の午前中は,本プログラムの特徴である,学生が互いの海外大学に留学する際に生活者の視点で当地を体験できる,いわゆる「Buddy Program」によるキャンパスツアーを実施しました。また,午後にはHSI参加大学院生と合流し,オープニング基調討論において,世界の課題解決に貢献できるグローバル人材の育成にとって不可欠である「異文化理解」と「多文化共生」をテーマに議論が交わされました。引き続き3日目以降においても,初参加のサハリン国立大学のInna Korneeva准教授による講義「サハリンにおける異文化理解の現状」と討論,また,グループワークとして課題解決型教授法(PAL:Place-based Active Learning)を用いたグローバル的思考とローカル的実践の演習など,活発な学習を実施することができました。
 本プログラムのフィールドワークとして,5日目から1泊2日の日程で日高管内平取町を訪れました。この研修では,川上 満平取町長より「平取町における地域振興とアイヌ政策推進の取り組み」について講演をいただきました。さらに,アイヌ文化の狩猟体験や萱野茂二風谷アイヌ資料館を訪れるなど,事前学習で学んだ内容をもとにアイヌ民族文化に対する更なる理解が深まりました。
 本プログラムの最終日には,北大プログラムのまとめとして,5カ国6大学の学部生たちが5つのグループに分かれ,最終報告を行いました。報告では,テロ活動への勧誘,東アジアの戦争と対立,田舎と都市部の教育の不公平さなどを各国でも話題となる共通のテーマについて発表し,自国での現状と照らし合わせ,白熱した議論が行われました。最終グループ報告会終了後は,アジアの5大学の学生に対し,修了証書と記念品の授与が行われ,実りのある交流が達成できました。
 本事業の特徴は双方向型短期留学であり,ESD北大プログラム終了後は,秋に北大生が2〜6名の5グループに分かれて海外5大学への派遣が開始されます。訪れた現地で北大生が各大学の“Buddy”と再会し,10日間のプログラムに参加するものです。平成29年2月には市立札幌開成中等教育学校から教諭・生徒を招待しての最終報告会を行う予定です。
 このように,本プログラムへの参加が契機となり,各大学のキャンパス,国籍,国家を超えて参加学生が仲間と教員をお互いに共有し合い,社会の持続可能な発展のために寄与できる「グローバル人材」の育成が期待されます。
市立札幌開成中等教育学校におけるESD事前学習の様子

市立札幌開成中等教育学校における
ESD事前学習の様子

アイヌ先住民の話を聞くESD参加者

アイヌ民族の話を聞くESD参加者

ESDプログラムの創始者である河口明人本学名誉教授を囲んで

ESDプログラムの創始者である
河口明人本学名誉教授を囲んで

(教育学院・教育学研究院・教育学部)

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