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北大農場公開2016「搾乳からアイスクリームまで」

 8月4日(木)に北方生物圏フィールド科学センター生物生産研究農場(北大農場)において,農場公開を行いました。北大農場では毎年公開を行っており,テーマを決めて,施設や教育研究活動を紹介しています。今回は,搾乳やアイスクリーム作りを体験し,「どのようにして牛乳ができるのか」「牛乳がどうやってアイスクリームになるのか」を学んでもらう目的で開催し,主に札幌市内から小学生と保護者11組23名の参加がありました。
 はじめに牛舎へ行き,防疫・衛生のためオーバーシューズを身につけ,技術職員が毎日行っている搾乳作業を見学した後,担当職員から手搾りの方法を教わって,搾乳体験を行いました。参加者は最初戸惑いながらも,だんだん慣れてきて上手に搾れたようです。「普段は牛に触れることはできないので良い経験になった」との感想をいただきました。
 次に放牧地で,牛の餌である牧草やデントコーン,それらの加工品である乾草やサイレージ,その他,濃厚飼料について説明がありました。放牧地の牛糞が,虫によって細かく穴があけられている様子を観察してもらい,微生物により分解され易くなって,牧草の肥料となることなどの解説もありました。現在の日本の酪農では,北大農場のような放牧が主流ではないという話には,参加者は意外という声をあげていました。
 その後,アグリフードセンターに移動し,農学研究院の玖村朗人教授より,アイスクリーム製造の講義があり,身支度や手洗いなどを済ませてアイスクリーム作り体験に入りました。製造の手順はまず,牛乳・クリーム・脱脂粉乳・砂糖などの材料をよく混合してから,一定時間加熱殺菌してアイスクリームミックスが出来あがります。このミックスをフリーザーによって,マイナス10℃以下で15〜20分間冷却撹拌させて完成です。今回は時間の関係で,前もって作っておいたミックスを用いて,フリージングの工程のみを行いました。この体験で製造したアイスクリームと,事前に成分の内容を変えて製造したものとを食べ比べてもらいました。原料の違いで,大きく製品に影響が出ることをわかってもらえたようです。アイスクリームの冷却の待ち時間には,アグリフードセンター内の乳製品・肉製品の製造に使う色々な機械の紹介がありました。
 北方生物圏フィールド科学センターの三谷朋弘助教による乳牛の講義では,草食動物が胃の中で草を分解して栄養源とすることや,乳牛の体内で牛乳ができる仕組みなどの説明がありました。北大農場で搾った牛乳といくつかの市販牛乳との飲み比べも行いました。味の違いがはっきりとわかり,「北大農場の牛乳が一番おいしい」との感想をいただきました。講義の後は試食を兼ねた昼食時間とし,アグリフードセンターで製造したハム・ソーセージ・ベーコンなどの肉製品とアイスクリーム,バター,北大農場で生産された卵,牛乳が提供され,非常に好評でした。
 半日という短い時間でしたが,「搾乳からアイスクリームまで」の一貫したシステム,普段何気なく口にしている牛乳やアイスクリームについての理解がより一層深まったことと思います。今後も農場公開を通して,私たちの毎日に欠かせない「食」について考える機会を提供していきます。
搾乳体験

搾乳体験

アイスクリーム作り

アイスクリーム作り

(北方生物圏フィールド科学センター)

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