名誉教授 渡辺 寛人(わたなべ ひろと) 氏(享年81歳)
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名誉教授 渡辺寛人氏が平成28年6月20日に逝去されました。先生は,昭和33年3月北海道大学工学部応用化学科をご卒業され,同大学院修士課程を経て,同35年4月より神鋼ファウドラー株式会社に勤務されました。その後,昭和38年7月に室蘭工業大学に採用され,同60年2月に北海道大学工学部に教授として着任,工業分析化学第二講座をご担当後,工学部機構改革により平成6年から分子化学専攻生物計測化学分野を担当されました。学部生,大学院生の熱心な教育・研究指導にあたり,多くの技術者・研究者・教育者を育成され,学生からも大変慕われていました。 先生は,溶質の二相間分配に関する分離化学的研究に携わり,希土類金属の工業分離に有効な新規溶媒抽出剤の開発,界面活性ミセルによる可溶化現象の分配理論による解明,ミセル水溶液の二相分離現象を利用した新規抽出法の開発などを通じ,金属錯体などの低分子化合物からタンパク質などの生体高分子に至るまで様々な物質の分離法へと展開されました。その独創的かつ先進的な分離技術は,分析化学のみならずバイオテクノロジーなど様々な分野へと波及し,国内外で高い評価を得ています。これらの研究業績により,平成9年には「ミセルを場とする分離法の研究」に対し日本分析化学会賞を受賞されています。 学内では,北海道大学廃液処理施設将来構想検討委員会委員長,北海道大学環境保全センター運営委員会委員長などを務められ,本学の環境保全に尽くされました。学外においては,日本分析化学会副会長,日本分析化学会北海道支部長並びに文部省学術審議会専門委員会,同省大学入試センター教科専門委員会,同試験問題特別専門委員会,北海道教育委員会等の各種委員を歴任され,学術の振興並びに我が国と北海道の理科教育・職業教育の発展に貢献されました。 先生の長年にわたるご貢献に改めて感謝し,ここに謹んで心よりご冥福をお祈り申し上げます。 |