理系部局

○測量学外実習 工学研究科・助教授・中辻 隆

1.授業の目的・内容

本科目は,実際のフィールドでの実習を通して大地の長さや角度を測るための技術の習得やデータ処理について学ぶことを目的にしていますが,実質的には寝食を共にした共同作業を通してクラスメート同士の親交を深める機会を提供することを最も重要な役割としています。従って,土木工学科における数少ない必修科目の一つして進学直後の夏期休暇中の数日間にわたる宿泊集中授業として実施されています。また,当該学年を担任する研究室の助教授を中心としたチームによって担当されています。

実習内容としては,年によって若干の相違はありますが,セミナーハウス周辺の道路や地形を利用して距離や角度を測り,あるいは与えられた地形座標をもとにセミナーハウスのグランドに絵文字を書くことなどを主な項目としています。学生は日中の野外作業だけでなく,夕食後には日中に測量したデータの整理や翌日の作業を行うための事前計算などに追われ,全員の協力なしには作業が終わらない設定となっています。

平成16年度は,私の他に石川達也助教授,小幡卓司助手,横浜勝司助手,古内仁助手,平沢秀之助手をメンバーとしてチームが構成され,学生は各班8名を単位として全部で10班に組織されて9月26日(日)〜30日(木)の日程で大滝セミナーハウスにおいて実施されました。

2.授業実施上の取り組み・工夫

チームワークの涵養を最大限高めるために,実習は各班を基本単位とした対抗戦の形式で実施されています。各班の進捗状況が常時玄関ホールに提示され対抗意識を煽っています。最終日前日の打ち上げの際には優秀チームやMVPの表彰などの儀式も行っています。

天候の影響を直接受けることから,実習を期間内に効率的に行うためには教員のチームワークも肝要とされています。測量器材の事前点検,実習地の事前踏査や関係機関への事前依頼等の段取り作業を協力して行っています。実習期間中においても,単に器材の取り扱いや実習内容の説明を行うだけでなく,学生の実習の進行状況に応じて補助杭を設定するなど多くの現場作業と内業を要求され,学生以上にチームワークが求められています。

本科目が担っている任務の特殊性から,予算の流用,あるいは備品等の利用にあたって学科全体の協力が得られる体制になっています。実習期間中には,果物や飲み物の差し入れを伴って多くの教員が激励に訪れます。

セミナーハウス側の協力も重要な要因になっています。ハウス事務係長(16年度:秋田谷氏)を中心に,他研修との日程調整,朝昼夕3食の献立の工夫,ハウス内の施設利用などに対して万全の配慮と協力体制のお陰で円滑な実習が可能となっています。

3.その他

持ち回りの科目であり,例年通りの内容を定年通り実施しただけであり特筆すべきこともありません。敢えて高い評価を得た理由を詮索すると,1)天候に恵まれ作業が順調に進んだこと,2)助手の先生を中心に積極的に学生の中に入っていってくれたこと,3)毎年の担当者の創意・工夫の積み重ねで実習内容が改善されていったことなどが挙げられます。

他の理由として,例年と異なって私自身が本科目に先行する「測量学」を担当していることもあり,座学と実習との連携を密にはかることができたことがあげられます。その中で,1)最初から班を構成させて普段の授業時には班単位で着席させて班員相互の名前と顔を覚えさせたこと,2)80余人の学生の名前を覚えるために(結構大変),4月の1回目の授業時に全員の顔写真を名前入りで撮り(普段着で普通の状態での写真が有効),通常の授業時に活用することによって学外実習前にはほぼ全員の顔と名前を一致させるようにしたことなどが良かったのではと総括しています。


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