文系部局

○人間と文化:外国人に日本語を教える
留学生センター・准教授・中村重穂(代表)、同教授・山下好孝、同准教授・柳町智治、同准教授・小林由子、同准教授・小河原義朗(以上5名担当)

1.授業の目的・内容

本授業の目的は「日本語教育に関する基本的な知識と技術、及び日本語を新たな視点から考える」ことである。もとより14回の授業で日本語教育の全てが理解できて実際に教壇に立てることを期待するのは無理であり、基本的には、受講者に日本語教育に一定の理解を獲得してもらい、また日本語を外から見る見方に触れてもらうことを到達目標とした。

内容としては、大きく分けると日本語の構造や見方を扱う理論的な方向と、日本語を教える上で用いる技術や方法を扱う技術的な方向を取り上げたが、今学期は特に、海外の日本文化祭に参加した受講者に1コマ提供して参加報告(=日本語・日本文化を伝えた体験)をしてもらったことで、例年の講義にはない新鮮さが加わったことと思われる。

2.授業実施上の取組・工夫

受講者のほぼ全員が実際の日本語教育の体験がないことに鑑み、日本語教育/学習を擬似的に実体験してもらうことを通して、(i)外国人学習者の目から見た日本語や学習時の意識のあり方、(ii)自分が日本語を教える/学習を支援する立場になった時に必要な知識や技能、学習の捉え方等に触れ、そこから理解を少しでも深めてもらえるようにするとともに、(iii)教員から受講者への一方通行の知識伝達型授業にならず、受講者が互いにリソースとなることができるよう留意した。具体的には;

  1. 外国人学習者向け日本語教材を通して、自ら問題を解いたり課題をこなしたりすることを体験しつつ既知の日本語の捉え方と異なる見方を知ることができるようにした
  2. 外国人学習者向け日本語教材・課題を手がかりに学習者の「読む」「書く」等の学習過程に於ける見方や意識、問題点に接近できるようにした。
  3. 外国人学習者の文章や誤用例などを取り上げて、それらの原因や問題点を考え、教員の補足説明と併せて日本語学習のあり方を深く理解できるようにした
  4. 外国人学習者と日本語母語話者との共通点にも目を向け、特に「書く」ことに於いて受講者の日本語運用をよりよくしていくことができるようにも配慮した。
  5. 上記授業を通して得た知見を、実際に日本語学習者に対してどのような学習支援が必要かという問題と結びつけて考えられるようにし、特に将来自分が留学生のチューターになったり、交換教授をしたりする場合を想定して、知識を提供するようにした
  6. 以上の過程で、殆どの授業に於いて、グループワーク(毎回人数やメンバーが替わる)、ペアワーク、チーム対抗型作業を取り入れ、受講者相互の交流や知的刺戟の活性化が進むよう配慮した。

以上が主たる取り組み・工夫である。

3.その他

アンケートでは概ね高い評価を得られたが、以下の諸点にはなお検討の余地がある。

今後科目提供の機会があれば、これらについてさらに改善を重ねてよりよい授業の実施に努めたく思う。


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