「母性看護学援助論」は、医学部保健学科看護学専攻3年次の学生を対象とした必修科目で、周産期にある母子とその家族の支援に必要とされる基礎的知識と技術の習得を目的としています。本講義の内容は、妊婦、産婦、褥婦および新生児の生理的変化を理解すること、基本的なヘルスアセスメントとその方法を理解することに主眼をおいています。
1.講義のポイントを示した教材を用いましたが、重要な部分は空白とし、適宜学生に回答を求めることで、講義に集中できるようにしました。教材は可能な限り、視覚的に理解できるよう工夫しました。
2.毎回の講義後に出席の確認を含んだミニッツ・ペーパー(疑問、質問、意見、感想を記入する用紙;以下M.P.)を提出してもらい、次の講義でM.P.に記載のあった内容で重要なことについて説明しました。提出にあたっては、成績評価とは一切関係がないこと、提出者の氏名は公表しないことを前提としました。このM.P.は学生の理解度を教員が把握するのに役立ちました。また、的確な質問、学究的な意見に回答することで、講義の内容が深まったと考えています。
3. 講義のなかで、妊婦や産婦等がイメージしやすいような事例を提示し、擬似体験を取り入れました。演習では、学生全員が体験できるように、助教の先生の応援をいただきながら運営を工夫しました。
4. 本講義では、どうしても女性に焦点があたりがちですが、男子学生が疎外感を感じないよう、さらに、学生個々人がそれぞれの立場でいのちの誕生や家族の出会いへの看護を考えられるよう配慮をしました。学生自身が男性、女性、あるいは母親としての感じ方、考え方について素直に話してくれた場面もあり、全体として、学生は積極的に講義に参加していたと評価しています。
本講義は他の科目と異なり、健康な対象者への看護という点で、母子およびその家族へのヘルスプロモーションをどのように伝えるかに苦慮しました。また、看護師国家試験受験資格を取得するための必修科目として限られた時間の中で「教えなくてはならないこと」と、教員自身が「伝えたいこと」とのギャップに悩みました。学生にとっては難易度が高いようなので、必要なことを分かりやすく伝える努力をしていきたいと思います。