今般の新型コロナウィルス感染症は、予想を遙かに超えた形で地球規模で拡大して来ています。確かに、わが国では一時の拡大を脱して少しずつ収束の兆しも現れ、緊急事態宣言も解除されたとは言え、ここ何日かは首都圏での感染拡大や全国的な拡散がまた見られるようになり、今後の推移はなお予断を許しません。本学ではこの間、事態の進展に即して種々の対策を講じて来ていますが、今後も状況変化をよく見据えつつ対応することが必要だと考えています。
特に皆さんに関わる教育の面では、4月の新年度に入って以降、健康と安全第一の観点から、学事歴の見直し、オンライン授業体制の整備、主要な教育行事の実施の可否検討、そしてメンタルヘルスのケア体制や緊急の財政的支援策などを決定しながら、コロナウィルスと共存できる教育体制の方向を定めて来ています。従前のBCPレベル3の体制は6月1日にレベル2へ移行し、さらに7月10日にはレベル1に移行することとなり、オンラインを中心とした教育は引き続き実施される一方、一定の条件の下で対面授業と皆さんの登校が可能となりました。
このような状況の良化はありますが、しかし皆さんには、これまでと同様に、改めてウィルス感染に係る切迫した状況をしっかりと認識し、自身の健康はもちろん、友人や家族、そして市民全体にも関係する安全の問題について十分に配慮し、同時に学生の本分である勉学への意欲と熱意も保持して、自律心を持って生活してほしいと、引き続き強く願うものです。札幌農学校の初代教頭ウィリアム・クラーク先生の"Be ambitious"や"Be gentleman"という言葉を忘れることなく、北大生としての誇りを保持してください。
その一方で、特に新1年生の皆さんはまだキャンパスに足を踏み入れることもできず、オンラインの授業だけで、不安や困惑を抱えている人も多くなっていると聞いています。そのような状況を承け、私たちもこれまで以上に確実な支援に努めてゆきたいと思っていますので、皆さんも、北海道大学というアカデミック・コミュニティの一員として、引き続き理解と協力をお願いします。
令和2年7月10日
理事・副学長(教育・学生等担当) 長谷川晃