新着情報アーカイブ

ホーム > 新着情報アーカイブ > プレスリリース(研究発表) > 【記者会見】世界最高の検出感度をもつカルシウムイオンセンサー“カメレオン-Nano”の開発に成功!(電子科学研究所 教授 永井健治)

【記者会見】世界最高の検出感度をもつカルシウムイオンセンサー“カメレオン-Nano”の開発に成功!(電子科学研究所 教授 永井健治)

 このたび、北海道大学電子科学研究所 永井健治教授らと理化学研究所脳科学総合研究センターの研究グループは、細胞内の極微量(nM:ナノモーラ−)レベルのカルシウムイオン(Ca2+)のわずかな濃度変化を超高感度に検出することができる蛍光性Ca2+センサーを開発することに成功しました。
 これにより、従来は捉えることができなかった、"細胞種毎の静止期におけるカルシウムイオン濃度の違い"や、"大脳皮質神経活動の高感度検出"、"生きた動物の神経ネットワークや筋肉組織の活動パターンの同時計測"、"大規模ネットワークにおける細胞間シグナル伝達計測"に成功することができました。
 今後、カルシウムイオン動態の異常が関連する、てんかん発作や躁うつ病、循環器疾患、アレルギー疾患、内分泌異常など様々な疾病の原因究明や創薬スクリーニングに期待が持てます。
 本研究成果は、2010年8月8日付け科学誌「Nature Methods」電子版に掲載されました。

図1.カメレオン-Nanoの構造模式図
カメレオン-NanoではCaM(灰色)とM13ペプチド(赤色)のつなぎ目のアミノ酸数を増やすことでカルシウムイオン(緑色)の結合力を増加させている。

 
図2.カメレオン-Nanoと従来のカメレオン(カメレオン3.60)の性能の違い.カメレオンを発現するゼブラフィッシュ幼魚の尾ひれ部分を背中側から観た像.上図:蛍光画像により脊髄、遅筋、速筋、上皮が区別できる.下図:カメレオン-Nanoで観察した場合、上皮、脊髄神経、速筋、遅筋の順でカルシウムイオン濃度が低くなるのが分かる。また、脊髄の左側に存在する3つの運動神経が自発発火している様子が伺える.一方、従来のカメレオンで観察すると運動神経の発火は観察されるが、上皮、脊髄神経、速筋、遅筋間でのカルシウムイオン濃度の違いは捉えることができない.

 
図3.カメレオン-Nanoで捉えたゼブラフィッシュ幼魚脊髄の介在神経および運動神経の活動動態

 
図4.カメレオン-Nanoで捉えることに成功した、細胞性粘菌の集合流形成時における細胞間を伝達するシグナル螺旋波.画像の一辺は2mm.白黒画像は細胞性粘菌の蛍光画像でもっとも輝度の高いところが集合中心.カラー画像は10分毎のCa2+動態.水色がCa2+濃度の高いところを示す.

 

 詳しくは、記者発表資料をご覧下さい。
 記者発表資料(PDF)


8月4日,記者会見で説明する永井教授

本件に関するお問い合わせ先
北海道大学電子科学研究所 教授
永井 健治 (ながい たけはる)
〒001-0020 札幌市北区北20条西10丁目
TEL:011-706-9438
FAX:011-706-9443
E-mail: tnagai@es.hokudai.ac.jp

総務部広報課