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「大学連携バイオバックアッププロジェクト(IBBP)」に関する協定を締結

 大学共同利用機関法人自然科学研究機構並びに国立大学法人北海道大学,東北大学,東京大学,名古屋大学,京都大学,大阪大学及び九州大学は,災害に強い生命科学研究を実現するため,全国の大学・研究機関での研究に不可欠な生物遺伝資源をバックアップする「大学連携バイオバックアッププロジェクト(IBBP※)」を発足させるべく,機構・各大学間の協定を6月1日付けで締結し,その体制整備に着手しました。

 先の東日本大震災では,飼育・栽培設備の損壊,長期の停電に伴う冷凍研究試料の融解,水やガスの供給停止による飼育生物の死滅や栽培植物の枯死などが多数報告されました。研究過程で作製された多様な生物遺伝資源(動物や植物などの突然変異体や遺伝子組換え体,培養細胞,微生物,遺伝子サンプルなど)の毀損・消失は,我が国の生命科学研究をはじめとする関連分野の研究の停滞,国際競争力の低下に直接つながるものであり,かかる事態を回避するため,全国的な生物遺伝資源のバックアップ体制を構築することが急務となっています。

 自然科学研究機構は,同機構基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)に集中バックアップ保存施設としてIBBPセンターを設置します。各大学には大学サテライト拠点を設置し,IBBPセンターと双方向的で緊密な連携により各担当エリア内の重要な生物遺伝資源を計画的にバックアップできる体制を本年度中に整備します。

 本学(北海道地区)では,理学研究院がサテライト担当となり,理学研究院附属の研究・教育支援施設である「ゲノムダイナミクス研究センター」が,本プロジェクトの北海道内における広報や,利用者とIBBPセンターとの仲介を行います。

 基礎研究や医学・薬学研究における生物資源・遺伝子資源の保存はもちろんですが,本学及び北海道地区では,特に畜産・獣医学をはじめとして,農林水産業に関連する研究や環境科学分野においても重要な生物資源が多く,昨年の東日本大震災で貴重な研究資源が失われたことを考えると,これらの保存に関するバックアップ体制の構築は強く望まれていたものであり,バックアップ体制の整備により,これまで各大学や研究機関でのみ保存されてきた生物遺伝資源がIBBPセンターの最新設備で確実にバックアップされ,研究基盤の強化が図られることとなります。

※IBBP:Interuniversity Bio-Backup Project for Basic Biology

 

 

6月18日(月)に行われた共同記者発表の様子(右から3人目:佐伯 浩総長)
6月18日(月)に行われた共同記者発表の様子(右から3人目:佐伯 浩総長)