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平成16年度授業アンケート特別版(記名式)分析結果報告

2005年10月5日 北海道大学評価室

平成16年度後期に,受講生ならびに教員の協力を得て,一部の授業で,受講生による記名式アンケート(授業アンケー ト特別版)を実施し,同時に当該授業担当教員から出席・成績のデータを得た。これにより,アンケート記入内容と出席状況ならびに成績の対応関係を検証する ことができた。

このアンケート特別版は19項目の質問(Q1~Q19)からなり,そのうち,17項目(Q2~Q18)は従来の無記名式とほぼ同じ質問である(詳細は下記を参照)。以下の分析では,これら17項目ならびに出席率,授業成績のデータ(アンケート提出者705名分)を対象とし,また,同時期に行われた一般アンケート(無記名式)結果と比較した。

1.記名式と無記名式との評価平均点の比較

同時期(平成16年度後期)におこなった従来の無記名式アンケートでの評価平均点(講義のみ,20,921人)は 3.7188(標準偏差は0.7182)であり,今回の特別版記名式における平均点(講義のみ,705人)は,3.7394(標準偏差は0.6325)と なった。等分散とは言えないので,Welchの方法でt検定をおこなったところ,t=0.8471となり,統計的に有意差はなかった。したがって,記名式 と無記名式で,アンケート評価平均点に違いがあるとは言えない。

2.アンケート評価平均点と授業成績

授業成績(優・良・可・不可)を変動要因として 15項目平均点(一般無記名アンケートと対応するQ2~Q16)に対して分散分析を行ったところ,有意な差(F=6.852,p<0.01,n=699) が認められた。平均値は順に3.825,3.778,3.637,3.242である。ついで成績のすべての組み合わせについて多重比較を行ったところ,優 と良の学生の評価に差は認められないが,可と不可の成績となった学生は優と良の学生よりも評価を低くする傾向がある(p<0.05)ことが認められた。こ れらのことから,可と不可となった学生によるアンケート評価は優と良の学生による評価よりも低くなると言える。

3.出席率

出席率に関しては,アンケートでの自己評価出席率(Q17)と実際の出席率との間にかなり高い正の相関0.6186 がみられた。このことから,出席率自己評価(Q17)と実際の出席率がおおむね合致していると言える。一方,実際の出席率と授業成績との相関係数は -0.1514で,負ではあるが小さい。すなわち,出席率の高低と成績の高低に明確な関係があるとは言えない。ただし,全体の平均出席率が89.75% と,非常に高いことから,ある程度の出席率以上であれば成績とは無関係であるという可能性はある。

4.クラスサイズ

クラスの受講者数(705人)と評価平均点との相関は-0.2625であり,値は低いものの,クラスサイズが大きいほど評価平均点が小さくなる傾向はあった。一方,無記名式(講義のみ,20,921人)では-0.0622となり,ほぼ無相関であった。

5.総合的結論

総体的に,記名式と無記名式でアンケート評価点において統計的に有意な差はないと言える。このことから,これまで実施してきている授業アンケートにおいて,記名式,無記名式のいずれを採用しても基本的に違いがあるとは言えない。

以上

授業アンケート特別版(記名式)は,授業アンケートの妥当性の検証を目的に,各学部及び言語文化部から推薦された24名(全学教育科目9,専門科目15)の教員の協力を得て,平成16年後期の授業において実施した。

アンケートの設問は以下のとおり。

特別版(記名式)

Q1 授業開始前にシラバスを読んで,この授業の目標や内容を十分に把握していた。
Q2 シラバスは,授業の目標,内容,評価方法を明快に示していた。
Q3 授業は体系的にまとめられていた。
Q4 教員の熱意が伝わってきた。
Q5 教員の話し方は聞き取りやすかった。
Q6 授業では,難解な概念,理論が出てきても,わかりやすく説明された。
Q7 授業により知的に刺激された。
Q8 黒板,スライド,OHP,ビデオ,教科書,プリント等の使われ方は理解の促進に効果的であった。
Q9 教員は効果的に学生の参加(発言,自主的学習,作業など)を促した。
Q10 教員は学生の質問・発言等に適切に対応した。
Q11 授業の進行速度は適切であった。
Q12 授業で要求される作業量(レポート,宿題,自習など)は適切であった。
Q13 授業内容の難易度は自分にとって適切であった。
Q14 自分は授業の履修目標を達成できた。
Q15 授業内容が他領域と幅広く関連することを理解できた。
Q16 この授業を受けたことから,その内容をさらに深く勉強したくなった。
Q17 この授業の自分の出席率は( )%程度であった。(ほぼ「100,80,60,40,20%」の順)
Q18 質問,発言,調査,自習などにより,自分はこの授業に積極的に参加した。
Q19 この授業は人に勧めたい内容であった。

<参考> 通常版(無記名式)の設問

Q1 シラバスは,授業の目標,内容,評価方法を明快に示していた。
Q2 授業は体系的に行われていた。
Q3 教員の熱意が伝わってきた。
Q4 教員の話し方は聞き取りやすかった。
Q5 授業は,難解な概念,理論があっても,わかりやすかった。
Q6 授業により知的に刺激された。
Q7 黒板,スライド,OHP,ビデオ,教科書,プリント等の使われ方が理解の促進に効果的であった。
Q8 教員は効果的に学生の参加(発言,自主的学習,作業など)を促した。
Q9 教員は学生の質問・発言等に適切に対応した。
Q10 授業の進行速度は適切であった。
Q11 授業で要求される作業量(レポート,宿題,自習など)は適切であった。
Q12 授業内容の難易度は適切であった。
Q13 授業の履修目標を達成できた。
Q14 授業内容が他領域と幅広く関連することを理解できた。
Q15 授業により,新しい知識,考え方,技能を習得でき,さらに深く勉強したくなった。
Q16 この授業の自分の出席率は( )%程度であった。(ほぼ「100, 80, 60, 40, 20%」の順)
Q17 質問,発言,調査,自習などにより,自分はこの授業に積極的に参加した。