北大人群像

北海道の一番高い“山”、
北大を目指し
高校時代から
好きだった化学の世界へ

北海道の余市町出身ということもあり、北海道の一番高い“山”といえば北大なので、そこを目指そうと思いました。本州に行くことは考えていませんでしたし、金銭面においても国立に行かなければと考えていました。非常に単純な理由です(笑)
北大に入学し、どの学部にするか選択する際には高校時代から好きだったので基本的な化学を学びたいと思っていました。北大には触媒研究所があり、当時、学長の堀内寿郎教授は世界的に有名な触媒の研究者で、その堀内教授と共同研究されていた田部浩三教授も、酸塩基触媒の研究で世界的に知られている方でした。この研究室にずっと入りたいと思っていたので、教養の時に理学部に行こうと決めました。
最先端科学技術を
社会に伝え
科学コミュニケーターを育てる

現在は、社会と科学技術が将来どのように結びつき、世の中を良くしていくことができるのかを考え、理解を深めるための拠点である日本科学未来館で館長を務めています。科学館といえば、子ども向けというイメージがあるかもしれませんが、ここは子ども向けではなく、研究者が国の予算を使って、社会を良くするための研究を行っているところです。
未来社会に向けて、私たちは今、さまざまな問題に直面していますよね。地球温暖化、感染症など解決しなければならない問題がたくさんある中で、科学技術がどのように貢献できるかを、多くの方々に理解してもらう、日本の立場を世界に理解してもらうことを目指しています。
また、研究者がどのように社会に役立っているのか、自らリーダーシップを取って発信する「科学コミュニケーター」を日本のために輩出しようと、人材育成にも力を注いでいます。

今、人間が関係するさまざまな問題について科学技術でどう取り組んでいくのかを考える時、原点に戻ること、自然に立ち返るという立場が大事だと考えています。人と動植物、微生物、そして自然環境が“ワンヘルス=一つの健康状態”になることが、北海道でならば実現できると期待しています。
日本ではデンマークに憧れを持っている人が多く、私自身、何度も足を運んでいますが、北海道の方がまだまだ可能性を秘めていると感じました。北海道は本州とブラキストン線によって植生が分かれていますし、オホーツクには流氷もある自然環境が特別なところ。500万の人々が自然環境、動植物とどのように関わるべきか、本来あるべき姿を見られるのではないかと思っています。
自分が新しい
何かを掴みたい!
そんな若者にこそ
目指してほしい

北大の魅力は、北海道の魅力そのものといえるでしょう。北海道は、日本における最も新しい土地であって、「何か新しいことをしたいな」という人々が集まるところだと思います。私自身も入学当初、周囲を見ると本州の人たちばかりで、彼らから影響を受けたことは多かったですね。
皆さんには近視眼的に自分の偏差値で大学を選ぶのではなく、「新しい何かを掴みたい!」という思いで大学を選んでほしいと思います。そして、その思いを受け止めるクラーク精神、開拓精神は、他の大学と比べて圧倒的に違う、北大ならではの特長だと思います。


毛利 衛 さん
(1970年 理学部卒業、1972年 理学研究科修士修了)