構造生物化学研究室(尾瀬研)

構造生物化学研究室(尾瀬研)について

マルチモダリティで生体分子を解析・新たな分子を設計

多くの構成要素から成り立つ生命を知るためには,各パーツがどのような形で存在してどのように機能するかを明らかにするというのが,従来の構造生物学のテーマでした。昨今では,蛋白質などの生体分子の形を“見る”ことは特別なことではなくなりました。蛋白質立体構造解析自体が研究と言える時代はすでに終わっており,構造情報からそれぞれの現象の本質をどのように捉えるかということに,研究室のアイデンティティーがかかっています。X線・中性子・電子顕微鏡・核磁気共鳴などの構造生物学的な手法に関しては,ある程度理論を学ぶと同時に,相互作用・酵素活性などの生物物理的な手法も取り入れ,溶液中や細胞中で生体分子を評価することを目標としています。北海道大学で使用可能な最先端の機器を駆使しして,どの生物現象に注目し,どのように進めていくかにオリジナリティーを発揮していきたいと思っています。個々の分子が持っている本質を知るため,構造解析もおこないながら,細胞生物学や有機化学,時には量子力学も意識しながら,細胞内シグナル伝達やウイルスに対する感染防御,精巧な酵素反応に取り組んでいます。他の研究者が気付かない観点で,阻害剤開発やワクチン開発に対する応用も考えますので,支援しつつ見守っていってください。また,従来より結晶学の発展に貢献するということも重要な使命と考え,結晶化法の開発や,中性子解析などの展開を積極的におこないます。

みなさまからのご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

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研究内容

私達が注目している現象は,シグナル伝達経路や酵素反応です。シグナル伝達経路は免疫等のホメオスタシスに大きく関与しています。免疫系に対しさらに上からウイルスなどが阻害を試みる現象,counteractionが知られています。counteractionを解明し,RNAウイルスに対する阻害剤やワクチン開発,またSARS-CoV-2の例のように潜在的に危険なウイルスを事前に予測することにつなげていきます。シグナル伝達経路の破綻はがん化にもつながりますので,シグナル分子が暴走しないようにする仕組みも研究しています。また,天然活性化合物(いわゆる天然物)の生合成やRNAの修飾に関するユニークかつ,一般化を論じる上で欠かせない酵素反応を丁寧に解析しています。それに加えて,独自の結晶成長法を開発し,ゲームチェンジャーとしての水素の性質を新たに解明していきます。

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基金の使途

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  1. 当研究室所属の学生・大学院生の学会発表(国内・海外)に係る経費
  2. 構造生物学,分子生物学,細胞生物学研究推進のための試薬等の購入

ご寄附の特典

「北大フロンティア基金」の特典が適用されます。