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第29回:甲田 彰 理事

 こんにちは。理事の甲田です。本年(2024年)4月に財務・DXの担当として着任しました。この度はこのようなコラムの機会をいただき、関係の皆様に心からお礼を申し上げます。

【自己紹介】
 東京で生まれ育ち、自宅、学校、職場がすべてJR中央線沿線にありました。これまでの人生で中央線には2万回から3万回乗車してきた計算になります。
 大学では数理工学を専攻していましたが、技術職には進まず東京海上火災保険(当時)という損害保険会社に入社しました。最も長く携わったのは商品開発で、特に生損保一体型「超保険」では構想段階から発売までプロジェクトに参加しました。個人向けの保険商品全般に携わることができ、今でも保険の約款を読むのが大好きです。
 その後、40歳で文部科学省所管のファンディングエージェンシー「科学技術振興機構(JST)」に転職しました。JSTは大学との関係が深い法人で、皆さんご存じの研究開発プロジェクトへのファンディングだけではなく、科学技術に対する理解増進や研究開発戦略に関する調査分析などを行っています。私自身は入職後7年間をファンディング部門で過ごした後、経営企画部と人事部で7年半、そして最後の7年半は人事、経理、法務、調達など管理部門全般担当の理事を務めました。総じて刺激的な日々でしたが、入職時の想定とは異なり科学技術に触れる機会が少なかったことは残念でした。
 自己紹介の最後に趣味の話を少しさせていただきます。一番長く続けているのは「手品」です。保険会社に入社した時に宴会芸として始めましたので40年近くになります。手品というと手先の器用さが必要と思われがちですが、実際には専門のショップでネタを購入すれば誰でもマスターできますので、一発芸をお探しの方にはおすすめです。また、始めて15年ほどになりますが、今でも熱中しているのが「パワーリフティング」です。その他、多肉植物の栽培やトロンボーンの演奏なども少し嗜みます。

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【北大に対する想い】
 長く働いていらっしゃる方には実感が湧かないかもしれませんが、北大は稀有な大学だと思います。キャンパスは美しく広々とし、これだけ多くの学問領域が一つのキャンパスに揃っている大学は日本で唯一ではないでしょうか。さらに、札幌以外にもフィールド研究の場があり、他に類を見ない素晴らしい大学です。こうした大学で働けることを本当に幸せに思います。
 また、札幌は大変過ごしやすい街で、引っ越してきてから随分気持ちが優しくなりました。東京にいた時は何故あんなにあくせくしていたのか、、、

【仕事について】
 報道で目にしていたものの、転職してみて大学が置かれている状況の厳しさを実感しました。国からの予算は減少の一途をたどり、若者人口も減る一方です。世の中の変化が早く、これまでと同じことを続けていては大学はどんどん時代に取り残されてしまうでしょう。一方で、世の中の知識を生み出しているのが大学であることは間違いなく、中長期的な視点でじっくり取り組まなければなりません。
 そうした厳しい環境の中で、北大の教員や職員の皆さんが本当に頑張っていると感じます。しかし、努力や気合だけでは解決できない部分もあります。特効薬はありませんが、すべての活動においてデータやIT技術(特に生成AI技術)を活用することで効果的・効率的に研究、教育、事務を推進することができるのではないか、と思います。
 これから学内の関係者からお話を伺いたいと思いますが、北大の研究、教育、組織運営においてどのくらいデータが活用されているのでしょうか?新しい取り組みを行おうとしても、現状が分からなければ対応できません。日々の研究で生み出されるデータ、学部生や大学院生の教育内容(正課や関連する教育活動)、事務業務に使用するデータや文書など、まだまだIT活用による品質向上の余地がある気がします。
 ITを活用するためにはデータを集めたり、業務を標準化したりすることが必要です。またセキュリティには十分に配慮しなければなりません。一時的には負担が伴いますが、中長期的には必ずや大学の体力向上に繋がると信じています。教員や職員の皆さんには「人間でなければできない部分」(ひらめき、意欲、合意形成などの部分)を主に担っていただき、それをデータやIT技術がしっかり支える、そんな大学DXを目指し微力ながら尽力したい、と思います。

【最後に】
 最後に、シニアな転職者にありがちな「出羽守でわのかみ」にはならないように気を付けます。これまで培ってきた経験や常識は一旦脇に置き、まずは大学のルールをしっかり学ぼうと思います。教員、職員の皆さんと積極的に対話したいと思いますが、その中では随分と的外れなことを申し上げることもあるかと思います。遠慮なくご指摘いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

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