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研究資源 ― フィールド ―

フィールド・野生植物の利用

 広さ13.3haの北大植物園には、北海道の自生植物を中心に約4,000種類が生育しています(管理・育成しているものも含む)。原生の植生は、ハルニレ、ミズナラ、ハンノキ、ウダイカンバ、ドノロキ、イタヤカエデ、ヤチダモ、ハリギリなど冷温帯の扇状地の森林を構成する種を主体とした落葉広葉樹林です。園内の野生植物やフィールドは、学生実習・実験などの授業や学位論文作成などの調査・研究のために、学内外を問わず盛んに利用されています。また、利用に際しては、園内で収集している基礎データの提供などの教育・研究支援を受けることが可能です。
 本園では様々な植物の開花日を、特定の個体を対象に毎年調査・記録しており、植物季節の長期的変化の基礎的資料となっています(『北大植物園技術報告・年次報告』で毎年公表)。
 また、開拓以前の植生が残る自然林については、人の手を加えず長期観察を行っており、パーマネントコドラートでの植生変化やシードトラップによる落下種子などのデータを蓄積し、研究利用に供しています(『北大植物園技術報告・年次報告』で一部公表)。

   

【参考文献】
北大植物園資料目録(3) 北大植物園高等植物目録
北大植物園技術報告・年次報告(2001-)
北海道大学農学部附属植物園年報(1986-2000)

地形・気象ほかデータ提供

 北大植物園は、石狩湾から苫小牧まで広がる石狩低地帯の一角にある豊平川(石狩川の一支流)の扇状地に位置しています。園内は扇状地特有の緩やかな起伏にとみ、大正の終わりごろまでは、各所にアイヌ語で”メム”と呼ばれる湧水がありました。現在では、地下水をポンプアップして園内の川に流して水位を維持しています。
 当地の気候は、日本海型気候区に属しているために冬季に雪が多く、積雪が100 cmを超えることもあります。平均気温は、最暖月で22.3度、最寒月でマイナス3.6度、年平均気温は8.9度、年平均降水量は1,106 mmです。
 本園の気象・環境データは定期的に記録されており、研究目的の利用であれば提供することができます。一部のデータについては『北大植物園技術報告・年次報告』で公表しています。
 なお、植物園内の地形は明治期から改変がなく、札幌の旧地形を研究する上では好適な対象といえますが、本園敷地は埋蔵文化財包含地として指定・保護されているため、地質調査などを行う場合は許可が必要です。

   

【参考文献】
北大植物園技術報告・年次報告(2001-)
北海道大学農学部附属植物園年報(1986-2000)

野生動物調査

 植物園は大都市である札幌の中心部に位置していますが、園内には多様な哺乳類、鳥類、昆虫類が生息しています。
 園内での捕獲・採集は禁止されていますが、教育・研究が目的である場合、調査・利用内容の打ち合わせの上で実施することができる場合があります。一部の種についてはスタッフによる定期的観察記録や情報の提供、調査内容によってはサポートを受けることができます。

建築物

 植物園内の建築物は、展示室や収蔵庫として利用されていますが、その歴史的価値から、建築史や意匠研究の材料としても利用されています。通常は公開していない部分であっても、調査目的・利用内容によっては利用することが可能です。

【参考資料】
文化財建造物保存技術協会.1996:重要文化財北海道大学農学部植物園・博物館保存修理工事報告書
北海道近代建築研究会編.1998:札幌の建築探訪