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研究資源 ― 博物館部門 ―

哺乳類標本

 北方域を中心とした哺乳類の剥製・毛皮・骨格標本約15,000点を所蔵しています。
 主要なコレクションとして、阿部永収集の食虫類・げっ歯類標本9,000点、明治期に収集されたニホンカワウソやエゾオオカミの剥製、犬飼哲夫が収集した北海道各地のヒグマ頭骨、海獣類の骨格などが大きなコレクションとして保管されています。
 近年の収集資料のうち、博物館で剥製標本としたものについては、胴部を液浸標本として保存しており、遺伝子調査や寄生虫などの調査にも利用されています。

   

【参考文献】
北大植物園資料目録(7)阿部永博士寄贈 哺乳類標本目録
北海道大学農学部博物館資料目録(1)折居彪二郎氏採集動物標本目録
Mitoshi Tokuda.1932: A List of the Specimens of Muridae from Northern Japan kept in the University Museum
阿部 永. 2007:日本産哺乳類頭骨図説 増補版

鳥類標本

 北海道、サハリンなど北方域の鳥類標本約12,000点を所蔵しています。
 「ブラキストン線」の提供者であるT.W.ブラキストンが日本に残した標本約1,300点、明治期の博物館スタッフであった村田庄次郎が1910年および1912年に行った「樺太動物調査」で採集した標本、「標本採集家」として大正・昭和期に活躍した折居彪二郎の採集標本などが主要なコレクションですが、札幌付近において明治期から現在まで収集され続けてきた標本も重要な研究資源となっています。

   

【参考文献】
北海道大学農学部博物館資料目録(1)折居彪二郎氏採集動物標本目録
北大植物園資料目録(2)T.W.ブラキストン鳥類目録
北大植物園資料目録(4)アメリカ自然史博物館交換鳥類標本目録
加藤 克.2012:ブラキストン「標本」史
加藤 克.2012:標本ラベルからみた樺太動物調査鳥類標本について
加藤 克ほか.2009:札幌農学校所属博物館における鳥類標本管理史 (1) : 東京仮博物場から札幌農学校所属博物館初期まで
加藤 克ほか.2010: 札幌農学校所属博物館における鳥類標本管理史(2) : 明治期の札幌農学校所属博物館
加藤 克ほか.2012: 札幌農学校所属博物館における鳥類標本管理史(3) : 大正~昭和期の博物館
加藤 克ほか.2014: 札幌農学校所属博物館における鳥類標本管理史 (4) : 標本ラベルの変遷からみた管理史
折居彪二郎研究会.2013:鳥獣採集家折居彪二郎採集日誌 : 鳥学・哺乳類学を支えた男
Yamashina et al..1932:A list of birds’ skins presented by Captain Blakiston in the University Museum of Natural History of Sapporo with a brief account of his life in Hokkaido.
Yamashina & Ikeda.1935:A List of Birds’ Skin Belonging to Anatidae Kept in the University Museum
Yamashina & Mukasa.1934:A List of Birds’ Skin Belonging to the Order Accipitres Kept in the University Museum

民族資料

 アイヌ民族を中心とした北方域の諸民族の文化資料約25,000点を所蔵しています。開拓使の時代に収集された資料や昭和初期に名取武光らによって収集された資料が中心になっています。
 開拓使時代の資料は、日本の博物館に残されているアイヌ民族資料の中でも古い時代のものであること、収集地域や年代の情報がある程度保存されていることから、文化的価値の高いものです。
 昭和初期の収集資料は、銛先(キテ)のコレクションや、熊送り関連の資料などが充実しています。各地の古老に製作を依頼して収集された資料は、北海道内での文化の地域性の検討に用いられたものです。

   

【参考資料】
北大植物園資料目録(6)アイヌ民族資料目録
名取 武光.1985:アイヌの花矢と有翼酒箸
名取 武光.1972-74:アイヌと考古学(名取武光著作集1・2)
加藤 克.2008: 北海道大学植物園所蔵アイヌ民族資料について : 歴史的背景を中心に

考古資料

 昭和初期に行われた名取武光の調査によって北海道内各地の遺跡から発掘された遺物と、開拓使時代から札幌農学校時代に小樽周辺で発掘された遺物など、およそ12,000点を所蔵しています。
 所蔵資料の主要な収集遺跡としては、現在の札幌周辺、江別市周辺、南千島、モヨロ貝塚、恵山、利尻・礼文、古平、泊など後志地方、根室などの道東地方の遺跡が含まれます。

   

【参考資料】
北大植物園資料目録(5)所蔵考古資料目録. 1 -旧豊平川右岸丘陵地出土土器の検討
北大植物園資料目録(8)所蔵考古資料目録. 2 –千島列島出土遺物目録
名取 武光.1972-74:アイヌと考古学(名取武光著作集1・2)

歴史資料・絵画資料

 開拓使の博物館時代に収集された歴史資料や絵画資料が所蔵されています。
 開拓使が内国勧業博覧会や万国博覧会に出品した際の賞状やメダル、出品物や、北海道の地質調査を依頼したB.S.ライマンによって収集された岩石標本など、日本の博覧会史や北海道の歴史や博物館史にとって重要な資料が数多く残されています。
 絵画資料の多くは、開拓使の画工によって描かれたもので、ブラキストン鳥類標本を模写したものなど、歴史資料としても貴重な資料になっています。

   

【参考資料】
北海道大学文学研究科平成12年度プロジェクト研究報告書 北海道大学農学部博物館の絵画
加藤 克.2012:ブラキストン「標本」史
加藤 克.2015:北大植物園・博物館所蔵農商務省博物局交換資料について

宮部金吾 資料

 初代植物園長である宮部金吾博士の遺品を所蔵しています。(ご遺族からの寄贈)。
 新渡戸稲造・内村鑑三とともに学んだ札幌農学校時代のノートや卒業証書、卒業後のハーバード大学留学時の資料、大学教官としての研究・教育に関わる資料のほか、写真資料などが含まれています。

   

【参考資料】
宮部金吾博士記念出版刊行会.1953:宮部金吾
秋月 俊幸.2010:書簡集からみた宮部金吾 : ある植物学者の生涯

写真資料・映像資料

 八田三郎・犬飼哲夫・名取武光が調査時に撮影した写真および記録映像などを所蔵しています。
 論文や著作物で利用された写真の原版の多くがガラス乾板やフィルムとして保存されており、印刷物では判読しづらい部分の再検討に利用することができます。また、出版物として利用されなかった写真も多く残されているため、研究活動の周辺情報としての利用も期待されます。
 このほか、研究調査の写真だけでなく、出張時に撮影した写真なども残されており、撮影場所の歴史資料としての活用も考えられます。

   

【参考資料】
加藤 克.2012:大学博物館所蔵古写真の現代的意義に関する研究
岡田 一男. 2011:ニール・ゴードン・マンローの1930年代アイヌ民俗誌映画への取り組み : ウウェポタラ(悪霊払い)の記録を中心に (マンローコレクション研究 : 写真・映画・文書を中心に)