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不斉四級炭素を持つ環状化合物の効率的・選択的合成に成功~医薬品や機能性有機材料の合成への応用に期待~(薬学研究院 教授 佐藤美洋、准教授 大西英博)

2019年5月13日

ポイント

●医薬品などの生物活性化合物には不斉四級炭素を持つ複雑な環状化合物が数多く存在。
●ロジウム触媒を用いて,不斉四級炭素を持つ環状化合物を効率的かつ選択的に合成する手法を開発。
●様々な不斉四級炭素を持つ環状化合物の合成が可能になり,医薬品合成などへの応用に期待。

概要

北海道大学大学院薬学研究院の佐藤美洋教授,大西英博准教授らの研究グループは,容易に入手可能なロジウム(Rh)触媒を用いて,単純な鎖状の化合物(エニン)から不斉四級炭素を持つ環状化合物を効率的かつ選択的に合成する方法を開発しました。

医薬品や機能性有機材料などの有用化合物の中には,不斉四級炭素を持つ環状化合物が数多く存在しており,これらの化合物を効率的かつ片方の鏡像異性体だけを合成する手法の開発が求められてきました。しかし,実際には四級炭素自体の構築が困難なことが多く,その化合物の片方の鏡像異性体だけを選択的に合成する手法の開発は発展途上とされています。

本研究では,容易に調製可能な光学活性な配位子(Ln*)を持つロジウム触媒とエニンとを反応させると,不斉四級炭素を持つ環状化合物が高収率かつ高選択的に得られることを明らかにしました。この反応では,ロジウムを含む環状の中間体であるローダサイクルが形成され,これが選択的かつこれまで報告例のない特異な反応を起こすことで,不斉四級炭素の構築が可能になりました。今後,医薬品や機能性有機材料などの有用化合物の効率的な合成法として,本反応が利用されることが期待されます。

なお,本研究成果は2019年4月24日(水)公開のAngewandte Chemie International Edition誌に掲載されました。

また,本研究は文部科学省科学研究費補助金「基盤研究B」(No.26293001),「基盤研究C」(No. 17K08202)の支援のもとで行われました。

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不斉四級炭素を持つ環状化合物の新しい合成法