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新規マンガンモリブデン窒化物を自己燃焼反応で合成~複合窒化物を用いた新規材料の創出や触媒の開発に期待~(工学研究院 助教 三浦 章)

2019年5月17日
北海道大学
山梨大学

ポイント

●自己燃焼反応によって新規マンガンモリブデン窒化物の合成に成功。
●自己燃焼反応を用いることで熱力学的に準安定な複合窒化物をわずか数秒で合成可能。
●複合窒化物を用いた新規材料の創出や触媒の開発に期待。

概要

北海道大学大学院工学研究院の三浦 章助教,忠永清治教授,山梨大学大学院総合研究部の長尾雅則助教,田中 功教授,ローレンツバークレー国立研究所のWenhao Sun研究員,同研究所及びカルフォルニア州立大学のGerbrand Ceder教授らの研究グループは,新規マンガンモリブデン窒化物を自己燃焼反応によって合成することに成功しました。

本反応では,金属塩化物とナトリウムアミドによる自己燃焼反応の急昇温,急冷を利用し,熱力学的に準安定な複合窒化物をわずか数秒で合成できます。研究グループは,鉄及びコバルトを含む窒化モリブデンを合成できることも実証し,この自己燃焼合成法が新たな複合窒化物材料を迅速に探査できる有望なアプローチであることを示しました。また,第一原理計算によって,塩化物とナトリウムアミドが反応することによって発熱的な反応が起こり,急冷によって室温で準安定相が得られることがわかりました。さらにマンガンとモリブデンを含むこの複合窒化物は,アルカリ水溶液中でモリブデン窒化物に比べて高い酸素還元触媒能を示しました。本研究により,合成が困難と考えられてきた準安定な複合窒化物合成と,それを利用した材料創出に向けた新たな手法の創出が期待されます。

なお,本研究成果は2019年5月10日(金)公開のACS Materials Lettersに掲載されました。

また,本研究は日本学術振興会科学研究費補助金(17H04950,17H03382),日本学術振興会国際共同研究事業の補助を受けて行われました。

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自己燃焼反応の概念図と合成反応及び生成物。短時間で新規複合窒化物の創出が可能。