2019年11月22日
ポイント
●昆虫の中で最も多様性の乏しいジュズヒゲムシ目の起源年代と系統関係を解明。
●現生種の起源は約2億7千年前で外見を大きく変えず進化し、その分布は大陸移動の歴史を反映。
●昆虫の多様化の背景や,交尾行動の進化の解明の進展に期待。
概要
ドイツ・キール大学の松村洋子博士(北海道大学修了生)と北海道大学大学院農学研究院の八尾 泉博士研究員及び吉澤和徳准教授らの研究グループは,わずか40種程度で構成される昆虫類の中で最小の目の一つ,ジュズヒゲムシ目の系統関係と分岐年代,分布形成史を推定しました。
ジュズヒゲムシは形態的多様性に乏しく,全ての種が一つの属に分類されているにもかかわらず,その起源は約2億7千万年前と非常に古いことが明らかとなりました。現在のジュズヒゲムシの祖先はパンゲア超大陸で起源し,大陸移動に伴って現在の分布パターンが形成されたことも示されました。朽木の樹皮下というごく限られた特殊な環境に適応したことで,2億年以上の長い間にわたって,種数を大きく増大させることも形を大きく変えることもなく進化してきたと考えられます。
なお,本研究成果は,2019年11月21日(木)公開のSystematic Entomology誌にオンライン公開されました。
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